問題
給水設備に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
1. | 総合病院における1日当たりの設計給水量は、150~350L/床とする。 | ||
2. | 受水槽の有効容量は、一般に1日最大使用量の1/10とする。 | ||
3. | 高層ホテルの給水系統でのゾーニングは、上限水圧を0.5MPaとなるようにする。 | ||
4. | 直結増圧方式は、引込み管に増圧ポンプユニットを設けて水圧を高くし、中層建築物に適用できるようにした方式である。 | ||
5. | 高置水槽方式は、他の給水方式に比べて水質汚染の可能性が低い方式である。 |
回答と解説動画
正解は(4)
1.総合病院における1日当たりの設計給水量は、150~350L/床とする。
→不適当
総合病院の設計給水量は、一般的に1,500~3,500L/床とされることが多いです。
その他の施設については以下のとおりです。表の数値を覚えましょう。
建物用途 | 単位給水量(1日あたり) |
---|---|
戸建て住宅 | 300~400ℓ/人 |
集合住宅 | 200~350ℓ/人 |
官公庁・事務所 | 60~100ℓ/人 40~60ℓ/人(節水器具の場合) |
小学校・中学校・高等学校 | 70~100ℓ/人 |
総合病院 | 1,500~3,500ℓ/床 30~60ℓ/㎡ |
ホテル客室 | 350~450ℓ/床 |
デパート・スーパー | 15~30ℓ/㎡ |
飲食店 | 55~130ℓ/客 |
2.受水槽の有効容量は、一般に1日最大使用量の1/10とする。
→不適当
受水槽の有効容量は、通常1日最大使用量の1/2程度とするのが一般的です。なお、高置水槽の場合は1/10程度です。
これは、水槽内の水が滞留することによる水質悪化を防ぐためです。
例えば、水を1日に100トン使用する施設であれば、高置水槽の有効容量は10トン、受水槽は50トンとしなければいけません。
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出典:弘前市
3.高層ホテルの給水系統でのゾーニングは、上限水圧を0.5MPaとなるようにする。
→不適当
ゾーニングとは、建物内の給水系統を複数の区画に分けて管理することです。
特に高層ホテルや大規模な建物では、1つの系統で全フロアに給水すると、下層階では水圧が非常に高くなりすぎてしまいます。
水圧が過大になると、配管や継手に大きな負担がかかり、ウォーターハンマー(配管内の衝撃音や振動)、配管の破損、漏水などのトラブルが発生しやすくなります。
そのため、適正な水圧を保つために、高層階と低層階などに分けて給水系統を区切る「ゾーニング」が必要になります。
なお、住宅やホテルなどの生活空間では、0.3MPa以下が望ましいとされており、事務所や工場では、ゾーニングを行った場合の給水の上限水圧は0.5MPaが上限とされています。
つまり、問題文の上限水圧0.5MPaは誤りで、正しくは0.3Mpaとなります。
4.直結増圧方式は、引込み管に増圧ポンプユニットを設けて水圧を高くし、中層建築物に適用できるようにした方式である。
→正しい
直結増圧方式は、引込み管に増圧ポンプユニットを設けて水圧を高め、中層建築物にも適用できる方式です。
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出典:宇都宮市水道局
5.高置水槽方式は、他の給水方式に比べて水質汚染の可能性が低い方式である。
→不適当
高置水槽方式は、受水槽と高置水槽という2つのタンクを設置する必要があり、蓋はあるもののどちらも大気に開放されているため、外部からの汚染物質が混入しやすい構造になっているためです。
また、使用状況によっては、水が一定期間タンク内にとどまることになり、残留塩素の低下や水質の劣化が起こりやすくなるという問題もあります。
このような理由から、水道直結方式に比べると、高置水槽方式は水質汚染のリスクが高くなるとされています。
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出典:宇都宮市水道局
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