問題
殺虫剤の有効成分やその効力に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | ピレスロイド剤は、蚊などに対する忌避効果がある。 | ||
2. | 殺虫剤に対する抵抗性は、どのような有効成分であっても獲得されてしまう可能性がある。 | ||
3. | 除虫菊に含まれる殺虫成分や、合成された類似物質を総称して、ピレスロイドと呼ぶ。 | ||
4. | 幼若ホルモン様化合物は、昆虫の幼虫脱皮時にその表皮形成を阻害する作用を示す。 | ||
5. | LD50値が小さいほど、殺虫力が強い薬剤であるといえる。 |
回答と解説動画
正解は(4)
1.ピレスロイド剤は、蚊などに対する忌避効果がある。
→ 正しい
ピレスロイド系殺虫剤は、昆虫の神経に作用して殺虫効果を示すほか、忌避効果も持っています。特に蚊などには高い忌避性が知られています。
2.殺虫剤に対する抵抗性は、どのような有効成分であっても獲得されてしまう可能性がある。
→ 正しい
どの薬剤であっても、繰り返し使用すると昆虫側に耐性(抵抗性)が形成される可能性があります。異なる成分の薬剤をローテーションして使っていくことが対策となります。
3.除虫菊に含まれる殺虫成分や、合成された類似物質を総称して、ピレスロイドと呼ぶ。
→ 正しい
除虫菊の天然成分であるピレトリン類を基に合成された殺虫成分を、ピレスロイドと総称します。

4.幼若ホルモン様化合物は、昆虫の幼虫脱皮時にその表皮形成を阻害する作用を示す。
→ 不適当
幼若ホルモン様化合物は、脱皮を起こさせずに幼虫の状態を持続させる(=蛹化や成虫化を妨げる)ことで成長を阻害します。(例:ピリプロキシフェン、メトプレン)
表皮形成阻害作用は、ジフルベンズロンなどのキチン合成阻害剤が該当し、使用された幼虫は脱皮に失敗し死亡します。
5.LD50値が小さいほど、殺虫力が強い薬剤であるといえる。
→ 正しい
LD50(半数致死量)は、50%の個体を死に至らせる薬剤の量を示す値であり、この値が小さいほど少量で致死効果がある=殺虫力が強いといえます。この他にも薬剤の有効性を表す指標がありますので一緒に覚えておきましょう。
LD50 | LD50(Lethal Dose 50)とは、半数致死量のことであり、殺虫剤などの急性毒性の強さを示す指標です。一定量の薬剤を昆虫などの生物集団に投与したときに、その50%を致死させるために必要な1匹体あたりの薬剤量を意味します。 |
LC50 | LC50(Lethal Concentration 50)とは、ある薬剤が空気中または水中に存在する場合に、その環境に一定時間曝露された試験生物のうち、50%が死亡する濃度を示す毒性指標です。主に水生生物や昆虫の幼虫などに対して用いられます。 |
KT50 | KT50(Knockdown Time 50)とは、殺虫剤の作用により昆虫などの対象生物の50%が「行動不能(ノックダウン)」になるまでにかかる時間を示す指標です。値が小さいほど速効性があるといえる。 |
IC50 | IC50(Inhibitory Concentration 50)とは、ある薬剤により昆虫の羽化を50%阻害する濃度を指します。つまり、この濃度では、対象となる昆虫の半数が羽化できなくなるということです。値が小さいほど効果が強い事を意味します。 |
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