問題
冷却塔に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 開放型冷却塔の水質管理として、強制的な循環水ブロー及び補給、薬品による水処理等が必要である。 |
2. | 密閉型冷却塔は、電算室やクリーンルーム系統用に採用されることが多い。 |
3. | 開放型冷却塔は通風抵抗が大きいため、密閉型冷却塔よりも大きな送風機動力が必要である。 |
4. | 開放型冷却塔と外気取入口との距離は、10m以上とする。 |
5. | 開放型冷却塔では白煙防止対策として、冷却塔の壁面に熱交換器を設置して外気を加熱する方法がある。 |
回答と解説動画
正解は(3)
各選択肢の解説
1. 開放型冷却塔の水質管理として、強制的な循環水ブロー及び補給、薬品による水処理等が必要である。
→ 正しい
開放型冷却塔は冷却水が外気と直接触れるため、水質が悪化しやすく、ブローや薬品による水処理が不可欠です。
2. 密閉型冷却塔は、電算室やクリーンルーム系統用に採用されることが多い。
→ 正しい
密閉型冷却塔は冷却水が外気に触れず水質が保たれるため、電算室やクリーンルームなど水質管理が重要な用途でよく使われます。
3. 開放型冷却塔は通風抵抗が大きいため、密閉型冷却塔よりも大きな送風機動力が必要である。
→ 不適当
密閉型冷却塔の方が構造が複雑で通風抵抗が大きく、送風機動力も大きくなります。開放型は構造がシンプルなため、送風機動力は小さくて済みます。
4. 開放型冷却塔と外気取入口との距離は、10m以上とする。
→ 正しい
冷却塔からの飛沫やレジオネラ属菌の拡散を防ぐため、外気取入口(給気口や窓など)から10m以上離すことが推奨されています。
5. 開放型冷却塔では白煙防止対策として、冷却塔の壁面に熱交換器を設置して外気を加熱する方法がある。
→ 正しい
白煙防止のため、冷却塔の壁面や内部に熱交換器を設置し、外気を加熱して排気と混合する方法が実際に用いられています。
密閉型冷却塔と開放型冷却塔の比較
以下は、開放型冷却塔(左)と密閉型冷却塔(右)の運転イメージです。
両者の一番大きな違いは、冷却水が直接外気に触れるかどうかです。開放型は冷却水が直接空気に触れて蒸発するときの気化熱により冷却水の温度を下げますが、密閉型では冷却水が配管の中を通っており、その配管に散水して冷却水の温度を下げます。
そのため、密閉型では冷却水が直接外気に触れることはありません。ただし、散水用のポンプや冷却水配管などが必要となるため、設備が大型化しやすいという特徴があります。
※画像内で、冷却水は循環水と表記されています
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その他に開放型冷却塔と密閉型冷却塔の違いについて、ビル管理士試験で重要な項目をまとめました。
項目 | 開放型冷却塔 | 密閉型冷却塔 |
---|---|---|
冷却方式 | 冷却水と外気が直接接触し、気化熱で冷却 | 冷却水はコイル内を循環し、コイル外側の散布水と間接的に熱交換 |
保有水量 | 多い | 少ない |
水質管理 | 冷却水自体が、直接外気に触れるためレジオネラ属菌対策など水質管理が重要。 | 冷却水は外気に触れず清浄だが、散布水のレジオネラ属菌対策など水質管理が必要。 |
構造 | 構造がシンプルなので設置スペースが比較的小さい。 | 構造が複雑なので、同じ能力なら大型になりやすい。 大きな送風機動力が必要。 |
用途 | 一般空調、工場、発電所など幅広い用途 | 電算室、クリーンルーム、病院など高い水質が求められる用途 |
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