ビル管理士 2020年(R2年) 問69  過去問の解説【空気環境の調整】

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問題

冷却塔に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.開放型冷却塔の水質管理として、強制的な循環水ブロー及び補給、薬品による水処理等が必要である。
2.密閉型冷却塔は、電算室やクリーンルーム系統用に採用されることが多い。
3.開放型冷却塔は通風抵抗が大きいため、密閉型冷却塔よりも大きな送風機動力が必要である。
4.開放型冷却塔と外気取入口との距離は、10m以上とする。
5.開放型冷却塔では白煙防止対策として、冷却塔の壁面に熱交換器を設置して外気を加熱する方法がある。

回答と解説動画

正解は(3)

目次

各選択肢の解説

1. 開放型冷却塔の水質管理として、強制的な循環水ブロー及び補給、薬品による水処理等が必要である。
→ 正しい
開放型冷却塔は冷却水が外気と直接触れるため、水質が悪化しやすく、ブローや薬品による水処理が不可欠です。

2. 密閉型冷却塔は、電算室やクリーンルーム系統用に採用されることが多い。
→ 正しい
密閉型冷却塔は冷却水が外気に触れず水質が保たれるため、電算室やクリーンルームなど水質管理が重要な用途でよく使われます。

3. 開放型冷却塔は通風抵抗が大きいため、密閉型冷却塔よりも大きな送風機動力が必要である。
→ 不適当
密閉型冷却塔の方が構造が複雑で通風抵抗が大きく、送風機動力も大きくなります。開放型は構造がシンプルなため、送風機動力は小さくて済みます。

4. 開放型冷却塔と外気取入口との距離は、10m以上とする。
→ 正しい
冷却塔からの飛沫やレジオネラ属菌の拡散を防ぐため、外気取入口(給気口や窓など)から10m以上離すことが推奨されています。

この問題は開放型冷却塔について記載していますが、外気取入れ口との離隔距離は冷却塔全般に適用されます。

5. 開放型冷却塔では白煙防止対策として、冷却塔の壁面に熱交換器を設置して外気を加熱する方法がある。
→ 正しい
白煙防止のため、冷却塔の壁面や内部に熱交換器を設置し、外気を加熱して排気と混合する方法が実際に用いられています。

冷却塔における「白煙」とは、冷却塔から排出される空気中に含まれる水蒸気が、外気によって冷やされて微小な水滴となり、白く見える現象のことです。
白煙は見た目が煙に似ているため、火災と誤認されたり、大気汚染など近隣への心理的な影響を与えることがあります。(白煙は水蒸気が可視化されたものであり、有害な煙や大気汚染ではありません

密閉型冷却塔と開放型冷却塔の比較

以下は、開放型冷却塔(左)と密閉型冷却塔(右)の運転イメージです。
両者の一番大きな違いは、冷却水が直接外気に触れるかどうかです。開放型は冷却水が直接空気に触れて蒸発するときの気化熱により冷却水の温度を下げますが、密閉型では冷却水が配管の中を通っており、その配管に散水して冷却水の温度を下げます。
そのため、密閉型では冷却水が直接外気に触れることはありません。ただし、散水用のポンプや冷却水配管などが必要となるため、設備が大型化しやすいという特徴があります。
※画像内で、冷却水は循環水と表記されています

出典:株式会社松井製作所

その他に開放型冷却塔と密閉型冷却塔の違いについて、ビル管理士試験で重要な項目をまとめました。

項目開放型冷却塔密閉型冷却塔
冷却方式冷却水と外気が直接接触し、気化熱で冷却冷却水はコイル内を循環し、コイル外側の散布水と間接的に熱交換
保有水量多い少ない
水質管理冷却水自体が、直接外気に触れるためレジオネラ属菌対策など水質管理が重要。冷却水は外気に触れず清浄だが、散布水のレジオネラ属菌対策など水質管理が必要。
構造構造がシンプルなので設置スペースが比較的小さい。構造が複雑なので、同じ能力なら大型になりやすい。
大きな送風機動力が必要。
用途一般空調、工場、発電所など幅広い用途電算室、クリーンルーム、病院など高い水質が求められる用途

解説動画

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