ビル管理士 2021年(R3年) 問93  過去問の解説【建築物の構造概論】

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問題

鉄筋コンクリート構造とその材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.モルタルは、砂、セメント、水を練り混ぜたものである。
2.梁のあばら筋は、一般に135°以上に曲げて主筋に定着させる。
3.柱の帯筋は、主にせん断力に対して配筋される。
4.柱の小径は、構造耐力上主要な支点間の1/15以上とする。
5.直接土に接する床において、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、3cm以上としなければならない。

回答と解説動画

正解は(5)

1.モルタルは、砂、セメント、水を練り混ぜたものである。
→正しい
モルタルはコンクリートと異なり、砂利などを含まず、仕上げや補修、下地に使用される。
以下の違いは暗記必須です。

  • モルタル:砂、セメント、水を練り混ぜたもの
  • コンクリート:砂、砂利、セメント、水を混合し練り混ぜて固めたもの
  • セメントペースト:水とセメントを練り混ぜたもの

2.梁(はり)のあばら筋は、一般に135°以上に曲げて主筋に定着させる。
→正しい
梁のあばら筋は、以下の画像のように先端を135度以上曲げて、主筋に定着させます。

出典:小川組

3.柱の帯筋は、主にせん断力に対して配筋される。
→正しい
柱の帯筋は、主筋の座屈を防止するとともに、せん断力に抵抗するために配筋される。

せん断力とは、物体に作用して、その物体をずらすように働く力のことを指します。

以下は、鉄筋コンクリート構造に用いられる鉄筋の種類とその役割の一覧です。

  • 柱の主筋は、地震や風などによって柱が曲げられる力(曲げモーメント)に対して耐えるための鉄筋で、柱の縦方向に通されています
  • 柱の帯筋は、柱に働くせん断力に対応します。通常、柱を帯のように巻く形で配置されます
  • 梁の主筋は、梁が受ける曲げモーメントに抵抗するために使われる鉄筋です
  • 梁のあばら筋は、梁のせん断力に対応します。梁の主筋を囲むように取り付けられます
出典:LIXIL

4.柱の小径は、構造耐力上主要な支点間の1/15以上とする。
→正しい
柱の小径(柱の断面の短辺方向の寸法)は、構造耐力上主要な支点間の距離の1/15以上とすることが、定められています。
ここでいう「支点間の距離」とは、柱が上下で構造的に支えられている点(例えば梁や床など)同士の距離のことを指します。設計上、この距離が長くなるほど柱が細いと座屈の危険性が高まるため、一定以上の断面寸法が必要とされます。
たとえば、柱が上下の構造部材で3mの距離にわたって支えられている場合、

3m÷15=0.2

すなわち、小径は20cm以上必要になります。

5.直接土に接する床において、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、3cm以上としなければならない。
→不適当
かぶり厚さとは、鉄筋をコンクリートで覆う厚さのことで、腐食や火災に対する保護を目的としています。直接土に接する部分は湿気が多く腐食リスクが高いため、4cm以上が必要とされています。
なお、直接土に接しない部分では、3㎝以上とされています。こちらも重要な知識なので違いを覚えておきましょう。

かぶり厚さ(かぶりあつさ)とは、鉄筋コンクリート構造において、鉄筋を覆うコンクリートの厚さのことです。鉄筋の表面から、その鉄筋を覆うコンクリート表面までの距離を指します。

解説動画

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