ビル管理士 2021年(R3年) 問65  過去問の解説【空気環境の調整】

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問題

冷凍機に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.スクロール圧縮機は、渦巻き状の固定スクロールと渦巻き状の旋回スクロールの旋回により冷媒を圧縮する。
2.スクリュー圧縮機を用いた冷凍機は、スクロール圧縮機を用いたものより、冷凍容量が大きい。
3.吸収冷凍機は、都市ガスを使用するので、特別な運転資格が必要である。
4.遠心圧縮機は、容積式圧縮機と比較して、吸込み、圧縮できるガス量が大きい。
5.シリカゲルやゼオライト等の固体の吸着剤を使用した吸着冷凍機は、高い成績係数を得ることができない。

回答と解説動画

正解は(3)

1.スクロール圧縮機は、渦巻き状の固定スクロールと渦巻き状の旋回スクロールの旋回により冷媒を圧縮する。
→ 正しい
スクロール圧縮機は、固定された渦巻き状部品と、それに沿って旋回運動するもう一つの渦巻き状部品の組み合わせで冷媒を圧縮します。振動・騒音が少なく、小型空調機で広く使われています。

2.スクリュー圧縮機を用いた冷凍機は、スクロール圧縮機を用いたものより、冷凍容量が大きい。
→ 正しい
スクリュー圧縮機は中~大容量の冷凍機に使われ、スクロール圧縮機は主に小型~中型に使われます。

3.吸収冷凍機は、都市ガスを使用するので、特別な運転資格が必要である。
→ 不適当
吸収冷凍機は都市ガスや重油、灯油などさまざまな熱源を利用できますが、「都市ガスを使うから特別な運転資格が必要」ということはありません。また冷凍機械責任者などの資格も不要です。(ただし、蒸気ボイラーなどを併設している場合はボイラー技士などの資格が必要なことがありますが、ビル管理士試験ではそこまで細かいことは問わないと思います)

4.遠心圧縮機は、容積式圧縮機と比較して、吸込み、圧縮できるガス量が大きい。
→ 正しい
遠心圧縮機は大量のガスを連続的に処理できるため、大容量の冷凍機やビル用空調機に適しています。

5.シリカゲルやゼオライト等の固体の吸着剤を使用した吸着冷凍機は、高い成績係数を得ることができない。
→ 正しい
吸着冷凍機は、成績係数(COP)が圧縮式や吸収式に比べて低いのが一般的です。低温の排熱利用などで使われますが、効率面では劣ります。

吸着冷凍機のサイクルは、まず真空に近い低圧の蒸発器で水が蒸発し、その際の気化熱によって冷水が作られることで冷房効果が得られます。
蒸発した水蒸気は、シリカゲルやゼオライトなどの固体吸着剤に吸着されますが、このとき吸着熱が発生するため、吸着器は冷却水で冷やされます。
次に、吸着剤に温水を通して加熱することで、吸着していた水蒸気が脱着(放出)されます。
放出された水蒸気は凝縮器に送られ、そこで冷却されて再び水に戻り、再び蒸発器へと循環します。このようにして、吸着・脱着・蒸発・凝縮の各工程が繰り返され、冷房が行われます。
(吸収式の冷凍機に似ていますね。吸収式の冷凍機については令和6年問65参照

吸着冷凍機の特徴
  • 冷媒は主に水を使用し、圧縮機を使わないため、騒音や振動が非常に少ないです。
  • 低温の排熱(60~80℃程度)や太陽熱を熱源として利用でき、省エネや未利用エネルギー活用に適しています。
  • 成績係数(COP)は一般的に低めで、圧縮式や吸収式冷凍機よりも効率は劣ります。
  • 環境負荷が小さい(水が冷媒、フロン不使用)ため、環境対応型冷凍機として注目されています。
  • 特別な運転資格が不要で、メンテナンスも比較的容易です。

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