ビル管理士 2022年(R4年) 問125  過去問の解説【給水及び排水の管理】

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問題

排水再利用施設における次のフローシートの(  )内に入る単位装置の組合せとして、最も適当なものは次のうちどれか。

集水 → スクリーン → (ア) → (イ) → 沈殿槽 → (ウ) → 消毒槽 → 排水処理水槽 → 配水

1.沈砂槽   流量調整槽生物処理槽
2.流量調整槽 生物処理槽ろ過装置
3.ろ過装置 生物処理槽流量調整槽
4.流量調整槽沈砂槽 ろ過装置
5.沈砂槽  ろ過装置 生物処理槽

回答と解説動画

正解は(2)

排水再利用設備とは、建物から出る排水(トイレや厨房排水なども含む)を処理して、飲用以外の用途に使えるよう再生するシステムです。再生された水は、トイレの洗浄用や植栽への散水、床清掃などに使われ、雑用水として建物内で再利用されます。
雨水を処理して再利用する場合と比べて、処理対象の水が汚染されているため処理工程が複雑です。
雨水処理施設に関しては令和6年問126参照

排水再利用施設のフローシートにおける各処理工程の順序は、一般的に以下の流れとなります。

  1. 集水(原水の集水)
    建物や施設内で発生した雑排水を、再利用のために一か所に集める工程です。ここで原水としての排水が集まります。
  2. スクリーン(大きなごみ・異物の除去)
    粗い網や格子状の装置で、流れてきた排水中のビニール、紙くずなどの大きなごみや異物を物理的に除去します。これにより、後工程の機械や配管の詰まりを防ぎます。
  3. 沈砂槽
    排水中に混入した砂や土砂などの比重の重い無機物を、流速を落として沈殿させて除去します。
  4. 流量調整槽
    排水の流入量や水質の変動を均一にし、後続の処理工程が安定して機能するようにします。ピーク時の流入や突発的な濃度変化を緩和します。
  5. 生物処理槽(微生物による有機物分解)
    ここでは、活性汚泥法や生物膜法などの微生物を利用した処理が行われます。排水中の有機物(汚れ)を微生物が分解し、浄化します。水質浄化の中心的な役割を担う工程です。
  6. 沈殿槽(生物処理後の汚泥の沈殿分離)
    生物処理槽を通過した排水には、微生物の死骸や分解されなかった固形物(汚泥)が含まれています。これを重力によって沈殿させ、上澄み水と分離します。沈殿した汚泥は定期的に引き抜かれます。
  7. ろ過装置(微細な懸濁物の除去)
    沈殿槽を通過した水には、まだ微細な浮遊物や懸濁物が残っている場合があります。砂やろ材を使ったろ過装置で、これらをさらに除去し、透明度の高い水にします。
  8. 消毒槽(塩素などによる消毒)
    ろ過された水に塩素や次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒剤を加え、細菌やウイルスなどの病原微生物を殺菌します。
  9. 排水処理水槽
    消毒を終えた再利用水を一時的に貯留するタンクです。ここから必要に応じて各用途(トイレ洗浄水、散水など)に配水されます。
  10. 配水
    処理・消毒された再利用水を、建物や施設の雑用水配管を通じて各使用箇所へ供給します。

設問のフローシート
集水 → スクリーン → (ア) → (イ) → 沈殿槽 → (ウ) → 消毒槽 → 排水処理水槽 → 配水

この流れに当てはめると、

  • (ア):流量調整槽
  • (イ):生物処理槽
  • (ウ):ろ過装置

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