ビル管理士 2022年(R4年) 問47  過去問の解説【空気環境の調整】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

湿り空気と湿度に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.湿り空気の温度が一定の状態で絶対湿度を増加させると、比エンタルピーは増加する。
2.露点温度のときの湿り空気では、乾球温度と湿球温度は等しい。
3.湿り空気において、絶対湿度が上昇すると水蒸気分圧は上昇する。
4.絶対湿度が上昇すると、露点温度は低下する。
5.絶対湿度が一定の状態で温度が低下すると、相対湿度は上昇する。

回答と解説動画

正解は(4)

湿り空気線図(h-x線図)は空気の状態を示す様々なパラメータを視覚的に表したグラフです。画像の湿り空気線図を見ながら説明していきます。

湿り空気線図の見方

  • 横軸:乾球温度(空気の温度)
  • 縦軸:絶対湿度(空気1kg中に含まれる水蒸気の量)
  • 曲線:相対湿度(100%、90%、80%…と書かれている線)
  • 斜めの線:湿球温度

相対湿度を求めるには、独立した2つのパラメータがあれば、図上で交点(状態点)を見つけ、その点を通る相対湿度曲線の値を読み取れます。

1.湿り空気の温度が一定の状態で絶対湿度を増加させると、比エンタルピーは増加する。
→正しい。
温度一定で絶対湿度が増えると、空気中の水蒸気量が増加し、水の蒸発潜熱分だけエネルギー(比エンタルピー)が増える。図では温度一定(縦線上)で上に移動すると絶対湿度が増え、比エンタルピーも増加する。

2.露点温度のときの湿り空気では、乾球温度と湿球温度は等しい。
→正しい。
図で相対湿度100%の曲線上では、乾球温度と湿球温度が一致する。例えば、15℃の点で相対湿度100%なら、乾球温度・湿球温度・露点温度はすべて15℃となる。

3.湿り空気において、絶対湿度が上昇すると水蒸気分圧は上昇する。
→正しい。
絶対湿度と水蒸気分圧は比例関係にある。添付図の右側の絶対湿度目盛りを上に行くほど、空気中の水蒸気量と水蒸気分圧が高くなる。

4.絶対湿度が上昇すると、露点温度は低下する。
→不適当。
絶対湿度が上昇すると、露点温度は低下ではなく上昇する。図で確認すると、絶対湿度0.005kg/kgの露点温度は約5℃、絶対湿度0.010kg/kgでは約15℃と、絶対湿度が高いほど露点温度も高くなる。これは空気中の水蒸気量が多いほど、より高い温度で凝結(結露)するためである。(例:空気中の湿度の高いほど、結露は起きにくい)

5.絶対湿度が一定の状態で温度が低下すると、相対湿度は上昇する。
→正しい。
図で絶対湿度一定(水平線)に沿って右から左に移動(温度低下)すると、相対湿度は上昇する。例えば、絶対湿度0.010kg/kgで、温度25℃なら相対湿度約50%、15℃なら約90%となる。

解説動画

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