問題
赤外線及び紫外線の健康影響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 赤外線は熱中症の原因となる。 |
2. | 赤外線はビタミンDの形成を促す。 |
3. | 紫外線曝(ばく)露により、角膜炎が起こる。 |
4. | 紫外線のうち、UV-Cはオゾン層に吸収される。 |
5. | 紫外線のUV-Bは、エネルギーが強く肌表面の細胞を傷つけたり炎症を起こし、皮膚がんのリスクを上昇させる。 |
回答と解説動画
正解は(2)
1.赤外線は熱中症の原因となる
→ 正しい
赤外線は発熱体から放射される熱として作用し、長時間浴びることで体温上昇や熱中症の発症に関与します。実際に赤外線障害の一つとして熱中症が挙げられています。
2.赤外線はビタミンDの形成を促す
→ 不適当
ビタミンDの生成を促すのは紫外線(特にUV-B)です。赤外線にはビタミンD合成作用はありません。
3.紫外線曝露により、角膜炎が起こる
→ 正しい
紫外線を強く浴びると、角膜が炎症を起こす紫外線角膜炎(雪目など)が発生します。これはよく知られた健康障害です。
4.紫外線のうち、UV-Cはオゾン層に吸収される
→ 正しい
UV-Cはオゾン層によってほぼ完全に吸収され、地表には届きません。
5.紫外線のUV-Bは、エネルギーが強く肌表面の細胞を傷つけたり炎症を起こし、皮膚がんのリスクを上昇させる
→ 正しい
UV-Bはエネルギーが強く、皮膚の細胞を傷つけて炎症や皮膚がんのリスクを高めます。
紫外線の種類まとめ
種類 | 波長(おおよそ) | 地表到達 | 作用・特徴 | 健康影響・用途 |
---|---|---|---|---|
UV-A | 315~400nm | ほぼ到達 | 波長が最も長い。窓ガラスや雲も通過しやすい。 | 肌の真皮まで到達し、しわ・たるみの原因。肌を黒くする。光老化。 |
UV-B | 280~315nm | 一部到達 | UV-Aより波長が短く、エネルギーが強い。 | 表皮に作用し、日焼け・炎症・皮膚がん・ビタミンD生成。 |
UV-C | 100~280nm | 到達しない(オゾン層で吸収) | 最も波長が短く、殺菌力が非常に強い。 | 殺菌灯など人工的利用。生物への破壊力が最も強い。 |
赤外線と紫外線の比較
項目 | 紫外線 | 赤外線 |
---|---|---|
波長 | 短い(約100~400nm) | 長い(約770nm~1mm) |
周波数 | 高い | 低い |
透過性 | 低い(皮膚表層や眼表面で吸収) | 高い(人体の奥まで届く) |
主な作用 | 殺菌作用、ビタミンD生成 | 熱作用(温熱効果) |
健康影響 | 皮膚紅斑、皮膚がん、白内障、電気性眼炎、角膜炎 | 熱中症、皮膚血管拡張、代謝促進、白内障(ガラス工白内障) |
曝露作業例 | アーク溶接、屋外作業、殺菌灯 | 炉前作業、ガラス工場、赤外線乾燥 |
その他 | UV-A、UV-B、UV-Cに分類、皮膚表層で主に作用 | 近赤外線・遠赤外線に分類、深部まで熱影響 |
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