ビル管理士 2022年(R4年) 問39  過去問の解説【建築物の環境衛生】

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問題

赤外線及び紫外線の健康影響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.赤外線は熱中症の原因となる。
2.赤外線はビタミンDの形成を促す。
3.紫外線曝(ばく)露により、角膜炎が起こる。
4.紫外線のうち、UV-Cはオゾン層に吸収される。
5.紫外線のUV-Bは、エネルギーが強く肌表面の細胞を傷つけたり炎症を起こし、皮膚がんのリスクを上昇させる。

回答と解説動画

正解は(2)

1.赤外線は熱中症の原因となる
→ 正しい
赤外線は発熱体から放射される熱として作用し、長時間浴びることで体温上昇や熱中症の発症に関与します。実際に赤外線障害の一つとして熱中症が挙げられています。

2.赤外線はビタミンDの形成を促す
→ 不適当
ビタミンDの生成を促すのは紫外線(特にUV-B)です。赤外線にはビタミンD合成作用はありません。

3.紫外線曝露により、角膜炎が起こる
→ 正しい
紫外線を強く浴びると、角膜が炎症を起こす紫外線角膜炎(雪目など)が発生します。これはよく知られた健康障害です。

4.紫外線のうち、UV-Cはオゾン層に吸収される
→ 正しい
UV-Cはオゾン層によってほぼ完全に吸収され、地表には届きません。

5.紫外線のUV-Bは、エネルギーが強く肌表面の細胞を傷つけたり炎症を起こし、皮膚がんのリスクを上昇させる
→ 正しい
UV-Bはエネルギーが強く、皮膚の細胞を傷つけて炎症や皮膚がんのリスクを高めます。

紫外線の種類まとめ

種類波長(おおよそ)地表到達作用・特徴健康影響・用途
UV-A315~400nmほぼ到達波長が最も長い。窓ガラスや雲も通過しやすい。肌の真皮まで到達し、しわ・たるみの原因。肌を黒くする。光老化。
UV-B280~315nm一部到達UV-Aより波長が短く、エネルギーが強い。表皮に作用し、日焼け・炎症・皮膚がん・ビタミンD生成。
UV-C100~280nm到達しない(オゾン層で吸収)最も波長が短く、殺菌力が非常に強い。殺菌灯など人工的利用。生物への破壊力が最も強い。

赤外線と紫外線の比較

項目紫外線赤外線
波長短い(約100~400nm)長い(約770nm~1mm)
周波数高い低い
透過性低い(皮膚表層や眼表面で吸収)高い(人体の奥まで届く)
主な作用殺菌作用、ビタミンD生成熱作用(温熱効果)
健康影響皮膚紅斑、皮膚がん、白内障、電気性眼炎、角膜炎熱中症、皮膚血管拡張、代謝促進、白内障(ガラス工白内障)
曝露作業例アーク溶接、屋外作業、殺菌灯炉前作業、ガラス工場、赤外線乾燥
その他UV-A、UV-B、UV-Cに分類、皮膚表層で主に作用近赤外線・遠赤外線に分類、深部まで熱影響

解説動画

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