ビル管理士 2022年(R4年) 問24  過去問の解説【建築物の環境衛生】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

温熱環境指数に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.予測平均温冷感申告は、気温、湿度、風速、平均放射温度、エネルギー代謝量、着衣量の6つの温熱環境要素を用いて評価をする。
2.不快指数は、気温と湿球温度、又は気温と相対湿度から算出される。
3.黒球(グローブ)温度は、銅製の黒球の中心温を測定したものである。
4.有効温度は、気温、湿度、風速、熱放射の4要素の影響を含んだ温熱環境の指標である。
5.湿球黒球温度(WBGT)は、暑さ指数として熱中症予防のために用いられている。

回答と解説動画

正解は(4)

温熱環境指数とは、人が感じた暑さや寒さを数値化した指標のことです。具体的には、気温、湿度、気流、放射温度、着衣量、活動量などの要素を考慮し、人間がその環境で快適に感じられるかどうかを評価するのに用いられます

1.予測平均温冷感申告は、気温、湿度、風速、平均放射温度、エネルギー代謝量、着衣量の6つの温熱環境要素を用いて評価をする。
→ 正しい。
予測平均温冷感申告(PMV)とは、室内の温熱環境が人にどれだけ「暑い」「寒い」と感じさせるかを予測する指標です。
評価には「気温・湿度・風速・平均放射温度(周囲からの熱の影響)・エネルギー代謝量(活動量)・着衣量」の6つの要素を使います。

2.不快指数は、気温と湿球温度、又は気温と相対湿度から算出される。
→ 正しい。
不快指数(DI)とは、蒸し暑さを数値で表した指標のことです。
気温と湿度をもとに計算され、数値が高いほど蒸し暑く感じることを示します。
たとえば、不快指数が75を超えると多くの人が「暑い」と感じ、80を超えると「ほとんどの人が不快」と感じるとされています。
計算には「気温と湿球温度」または「気温と相対湿度」が使われます。

3.黒球(グローブ)温度は、銅製の黒球の中心温を測定したものである。
→ 正しい。
黒球温度とは、放射熱(太陽やストーブなどからの熱)を含めた周囲の熱環境を測るための温度です。
銅製の黒い球の中心に温度計を入れて測定します。

出典:日本計量器工業

4.有効温度は、気温、湿度、風速、熱放射の4要素の影響を含んだ温熱環境の指標である。
→ 不適当。
有効温度(ET)は、湿度100%で無風の部屋の気温に等価な環境として表す主観的経験指数で、気温・湿度・風速の3つの要素を組み合わせて計算します。
この中に熱放射(周囲からの放射熱)は含まれません。
熱放射を含める場合は「修正有効温度」や「新有効温度」と呼ばれます。

5.湿球黒球温度(WBGT)は、暑さ指数として熱中症予防のために用いられている。
→ 正しい。
WBGTとは、熱中症予防のために使われる「暑さ指数」です。
気温・湿度・放射熱(黒球温度)を組み合わせて計算し、運動や作業の安全管理に広く利用されています。

WBGTについては令和6年問25を参照してください。

暗記するべき温熱環境指数の特徴一覧 

指数・基準名主な評価要素特徴・ポイント
予測平均温冷感申告
(PMV)
気温・湿度・風速・放射・着衣量・代謝量(6要素)室内の温熱環境が人にどれだけ「暑い」「寒い」と感じさせるかを、科学的に予測する指標です。
標準新有効温度
(SET)
気温・湿度・風速・放射・着衣量・代謝量(6要素)さまざまな条件下の体感温度を標準化して比較できる。
新有効温度
(ET)
気温・湿度・風速・放射・着衣量・代謝量(6要素)標準新有効温度(SET)の基礎となる指標。
標準的な条件(湿度50%など)の部屋で感じる温度に換算して表示します。
有効温度
(ET)
気温・湿度・風速(3要素)実際の環境を「湿度100%・無風の部屋の気温」に換算した体感温度。放射は含まない。
修正有効温度
(CET)
気温・湿度・風速・放射有効温度(ET)に放射を加えたもの。
湿球黒球温度
(WBGT)
乾球温度・湿球温度・黒球温度熱中症予防や暑熱ストレス評価の基準。屋内外の作業管理で広く使われる。
不快指数
(DI)
気温・湿度(または湿球温度)
蒸し暑さの体感指標。気温が高いほど数値も高くなる。75以上で「暑い」、80以上で「ほとんどの人が不快」。

解説動画

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