ビル管理士 2022年(R4年) 問23  過去問の解説【建築物の環境衛生】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

労働衛生に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.有害物の負荷量と個体レベルにおける障害などの程度の関係を、量-反応関係と呼ぶ。
2.最大許容濃度とは、作業中のどの時間をとっても曝(ばく)露濃度がこの数値以下であれば、ほとんど全ての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度である。
3.許容濃度とは、労働者が1日8時間、週40時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質に曝露されても、ほとんど全ての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度である。
4.許容限界とは、生物が耐えきれなくなるストレス強度の限界のことである。
5.一般の事務所における環境の基準は、労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則により定められている。

回答と解説動画

正解は(1)

1.有害物の負荷量と個体レベルにおける障害などの程度の関係を、量-反応関係と呼ぶ。
→ 不適当
「有害物の負荷量と個体レベルの障害の程度の関係」は「量-影響関係」と呼びます。
「量-反応関係」とは、有害物の負荷量と、ばく露集団において影響が現れる個体の“割合”との関係を指します。

  • 量-反応関係:負荷量と「反応した人の割合」の関係
  • 量-影響関係:負荷量と「個体ごとの影響の程度」の関係
    この2つは混同しやすいので注意が必要です。

「量-反応関係」と「量-影響関係」の違いについては令和6年問23を参照してください。

2.最大許容濃度とは、作業中のどの時間をとっても曝露濃度がこの数値以下であれば、ほとんど全ての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度である。
→ 正しい
最大許容濃度は、作業中のどの瞬間でもこの値を超えてはいけないとされる濃度です。

3.許容濃度とは、労働者が1日8時間、週40時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質に曝露されても、ほとんど全ての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度である。
→ 正しい
許容濃度は、1日8時間、週40時間の標準的な作業条件下で健康障害が生じないとされる濃度です。

4.許容限界とは、生物が耐えきれなくなるストレス強度の限界のことである。
→ 正しい
許容限界は、ストレスや負荷に対して生物が耐えられる限界を指します。

5.一般の事務所における環境の基準は、労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則により定められている。
→ 正しい
事務所衛生基準規則は、労働安全衛生法に基づき、事務所の空気環境や照度、清潔、休養などの基準を定めています。

ヘタ・レイ

「許容濃度」と「最大許容濃度」の違いがイマイチわかりづらいですよね。
簡潔にまとめると以下のような感じです。

  • 許容濃度
    「1日8時間の平均でこの値以下なら大丈夫」
  • 最大許容濃度
    「どんなに短い時間でも、この値を超えたらダメ」

許容濃度は平均値をとれますが、最大許容濃度は瞬間的でも超えたらダメなのでより厳しい条件となります。

解説動画

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