ビル管理士 2023年(R5年) 問138  過去問の解説【給水および排水の管理】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

浄化槽の単位装置として採用されている接触ばっ気槽の点検項目として、最も不適当なものは次のうちどれか。

1.水温
2.pH
3.ばっ気部分の発泡状況
4.MLSS濃度
5.生物膜の付着状況

回答と解説動画

正解は(4)

浄化槽とは、公共下水道が整備されていない地域で、家庭から出る生活排水をきれいにするための設備です。微生物の働きを利用して汚水を浄化し、処理水を河川などに放流します。

浄化槽の仕組み(川口市)

1.水温
→正しい
水温を計ることにより、接触ばっ気槽に存在している微生物の活動を知ることができます。

2.pH
→正しい
pHは6.2~7.2であれば適正とされています。

3.ばっ気部分の発泡状況
→正しい
接触ばっ気層では、「接触材」に付着する生物膜(好気性微生物)を利用して、ブロアにより汚水を「ばっ気」しながら「接触材」に循環接触させて、微生物の働きを活発化させています。そのため、発泡状況の確認も必要です。

4.MLSS濃度
→不適当
接触ばっ気槽は、生物膜法に分類され、微生物は接触材に付着して有機物を分解します。
この方式では、槽内のMLSS濃度よりも、生物膜の状態やばっ気状況が重要です。
MLSS濃度は、ばっ気槽内にある浮遊物質の濃度であり、活性汚泥中の微生物量を示す重要な管理指標の一つで、活性汚泥法で使われる指標です。

ヘタ・レイ

なんか難しいですよね。
ようは、浄化槽では微生物を使った排水の有機物の分解方法に、「生物膜法」と「活性汚泥法」の2種類があり、MLSS濃度は「活性汚泥法」で使う指標なので、この選択肢は誤りだということです。

5.生物膜の付着状況
→正しい
接触ばっ気法では、生物膜の状態が処理性能に直結するため、接触材への付着状態を確認します。

この問題のまとめ

浄化槽で使われる処理方式には、生物膜法と活性汚泥法があります。
生物膜法は、接触材の表面に微生物が付着して膜を形成し、有機物を分解します。管理が比較的簡単なので、家庭用浄化槽に多く採用されます。
一方、活性汚泥法は、槽内に浮遊している活性汚泥(微生物の塊)で処理する方式で、処理能力が高く下水処理場など大規模施設で多く使われる方式です。

以下の画像は一般家庭に設置される浄化槽のイメージです。

浄化槽イラスト(栃木市)

解説動画

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