ビル管理士 2023年(R5年) 問118  過去問の解説【給水および排水の管理】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

給湯設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.スリーブ形伸縮管継手は、伸縮の吸収量が最大200mm程度である。
2.中央式給湯設備の末端給湯温度は、ピーク使用時においても55℃以上とする。
3.事務所用途の建築物における1日当たりの設計給湯量は、30L/人程度である。
4.耐熱性硬質塩化ビニルライニング鋼管の使用温度は、85℃以下とする。
5.ガス瞬間湯沸器の能力表示で1号とは、流量1L/minの水の温度を25℃上昇させる能力である。

回答と解説動画

正解は(3)

1.スリーブ形伸縮管継手は、伸縮の吸収量が最大200mm程度である。
→正しい
スリーブ形伸縮管継手は、最大200mm程度の伸縮量をもちます。ベローズ型とスリーブ型があり以下のような特徴があります。

  • ベローズ型金属蛇腹で軸方向の伸縮や振動吸収に優れる。ベローズが一つのものを単式、二つのものを複式という。最大伸縮量は、単式で35㎜複式で70㎜程度。
  • スリーブ型スリーブがパッキン部を滑ることで大きな伸縮量を確保。最大伸縮量は200mm程度。

下の画像を見ればわかりますが、スリーブ型は二つの配管が重なっているイメージなので伸縮幅が大きいです

ベローズ型
出典:オクダソカベ
スリーブ型
出典:ベン

2.中央式給湯設備の末端給湯温度は、ピーク使用時においても55℃以上とする。
→正しい
中央式給湯設備の末端給湯温度は、ピーク使用時においても55℃以上を維持する必要があります。これは、レジオネラ属菌の繁殖を抑制するためです。

レジオネラ菌は、20~50℃で繁殖し、36℃前後で最もよく増殖、55℃以上で死滅する。

3.事務所用途の建築物における1日当たりの設計給湯量は、30L/人程度である。
→不適当
事務所用途の建築物での1人1日あたりの設計給湯量は、一般的に7~10L程度が標準的な目安です。その他の施設の設計給湯量は以下のとおりです。

施設・用途設計給湯量(目安)
ホテル宿泊部150~250 L/(人・日)
事務所7~10 L/(人・日)
総合病院100~200 L/(床・日)
集合住宅・住宅150~300 L/(戸・日)

4.耐熱性硬質塩化ビニルライニング鋼管の使用温度は、85℃以下とする。
→正しい
耐熱性硬質塩化ビニルライニング鋼管の使用温度は、85℃以下と定められています。

樹脂管の使用温度まとめ:

  • 耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管:90℃以下
  • ポリブテン管の使用温度:90℃以下
  • 耐熱性硬質塩化ビニルライニング鋼管:85℃以下
  • 架橋ポリエチレン管:95℃

上記は全て樹脂製の管で、以下のような形状をしています。樹脂なので金属と比べて熱に弱いです。また、樹脂管は使用温度が高くなると、許容圧力は低くなるという特徴があります。

ポリ塩化ビニル管
出典:クボタケミックス
架橋ポリエチレン管
出典:クボタケミックス
ポリブデン管
出典:三和商工

5.ガス瞬間湯沸器の能力表示で1号とは、流量1L/minの水の温度を25℃上昇させる能力である。
→正しい
ガス瞬間湯沸器の「1号」は、1分間に1Lの水を25℃上昇させる能力を示すという説明で合っています。

ガス瞬間湯沸器に表示されている「〇号」とは、水温を25℃上昇させたお湯を1分間に何リットル出せるかを表しています。
たとえば「16号」の場合、1分間に16リットルの水を25℃上昇させる能力があるという意味です。
また、1号はおおよそ1.74kWの加熱能力に相当します。
したがって、16号なら約27.8kW(1.74 × 16)の加熱能力を持つということになります。

解説動画

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