ビル管理士 2023年(R5年) 問117  過去問の解説【給水および排水の管理】

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問題

給湯設備の省エネルギーに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.部分負荷を考慮し、エネルギー利用効率の高い熱源機器を採用する。
2.エネルギーと水の節約を図るため、湯と水を別々の水栓から出さずに混合水栓を使用する。
3.配管経路を短縮する。
4.中央式給湯方式の循環ポンプは、連続運転とせず、給湯管(往き管)の温度が低下した場合に作動させる。
5.排水からの熱回収をする場合、熱交換器の腐食などによる湯の汚染を防止するために間接熱交換方式とする。

回答と解説動画

正解は(4)

1.部分負荷を考慮し、エネルギー利用効率の高い熱源機器を採用する。
→正しい
部分負荷時でも効率の良い熱源機器を選ぶことは、省エネルギーの観点から非常に重要です。実際の設計や運用でも、負荷変動に対応できる高効率機器の導入が推奨されています。

2.エネルギーと水の節約を図るため、湯と水を別々の水栓から出さずに混合水栓を使用する。
→正しい
混合水栓は、お湯と水を混ぜて適温の湯(水)を出すことができるため、単水栓に比べて無駄な湯の使用を抑えることができます。単水栓は、水またはお湯のどちらか一方しか出せないため、適温にするために無駄な湯を使いがちです。

混合水栓

3.配管経路を短縮する。
→正しい
配管が短いほど熱損失が減り、効率よくお湯を届けることができます。これは給湯設備の省エネルギー設計の基本です。

4.中央式給湯方式の循環ポンプは、連続運転とせず、給湯管(往き管)の温度が低下した場合に作動させる。
→不適当
省エネルギーのため循環ポンプを間欠運転する考え方自体は正しいですが、実際には「給湯管(往き管)」の温度ではなく、「返湯管(返り管)」の温度を基準にしてサーモスタットで運転制御を行うのが正しい方法です。給湯管の温度だけを見ていると、末端でお湯の温度が下がっていても気付けない場合があり、適切な温度管理ができません。

返湯管とは、給湯配管で使われたお湯の一部を再び貯湯槽(ボイラー)に戻すための配管のことです。給湯システムでは、蛇口をひねったときにすぐお湯が出るように、あらかじめお湯を配管内で循環させておく仕組みが取られることがあります。
返湯管があることで、配管内のお湯が常に流れ続けており、お湯の温度が下がりにくくなるだけでなく、蛇口を開けてすぐに温かいお湯が使えるというメリットがあります。
このとき、配管をぐるぐる循環させるために必要なのが「返湯管」です。
主に中央式給湯方式のように配管が長くなる場合に設けられ局所給湯方式のように給湯箇所が近い場合は省略されることが多いです。

5.排水からの熱回収をする場合、熱交換器の腐食などによる湯の汚染を防止するために間接熱交換方式とする。
→正しい
排水熱回収の際に湯の汚染や腐食を防ぐため、間接熱交換方式を採用するのが一般的です。衛生面や安全性の観点からも適切な方法です。
以下の排湯熱交換器を例にすると、容器の中には排水(捨てる予定のお湯)が流れ、管の中には新しく温めたい水が流れます。この構造により、排水の熱が管を通じて水に伝わり、水を間接的に加温することができます
新しい水は排水と直接接触していないため、衛生的に安全です

排湯熱交換器
出典:ノシロ工業株式会社

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