問題
冷却塔に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
| 1. | 開放型冷却塔は通風抵抗が大きいため、密閉型冷却塔よりも大きな送風機動力が必要である。 |
| 2. | 密閉型冷却塔は、電算室やクリーンルーム系統用に採用されることが多い。 |
| 3. | 開放型冷却塔では冷却水の水質管理、密閉型冷却塔では散布水の水質管理が重要である。 |
| 4. | 冷却能力が同等の場合、密閉型冷却塔は、開放型冷却塔よりも一般に大型である。 |
| 5. | 空調用途における冷却塔は、主として冷凍機の凝縮熱を大気に放出するためにある。 |
回答と解説動画
正解は（1）
1. 開放型冷却塔は通風抵抗が大きいため、密閉型冷却塔よりも大きな送風機動力が必要である。
→ 不適当
開放型冷却塔は、冷却水に直接外気を当てて冷やすため、通風抵抗が小さく、送風機動力も密閉型より小さくて済みます。
一方、密閉型冷却塔は冷却コイルや散布水など構造が複雑で通風抵抗が大きく、同じ冷却能力なら密閉型の方が送風機動力が大きくなります。
2. 密閉型冷却塔は、電算室やクリーンルーム系統用に採用されることが多い。
→ 正しい
密閉型は冷却水が外気に触れず清浄性が高いため、電算室やクリーンルームなど高い水質が求められる用途で多く使われます。
3. 開放型冷却塔では冷却水の水質管理、密閉型冷却塔では散布水の水質管理が重要である。
→ 正しい
開放型は冷却水そのものの水質管理が重要、密閉型は外気に触れる散布水の水質管理が重要です。
4. 冷却能力が同等の場合、密閉型冷却塔は、開放型冷却塔よりも一般に大型である。
→ 正しい
密閉型は構造が複雑で伝熱面積も必要なため、同じ能力なら開放型より大型になります。
5. 空調用途における冷却塔は、主として冷凍機の凝縮熱を大気に放出するためにある。
→ 正しい
冷却塔は、冷凍機（冷房機）の凝縮器で発生した熱を大気に放出する役割です。
密閉型冷却塔と開放型冷却塔の比較
以下は、開放型冷却塔（左）と密閉型冷却塔（右）の運転イメージです。
両者の一番大きな違いは、冷却水が直接外気に触れるかどうかです。開放型は冷却水が直接空気に触れて蒸発するときの気化熱により冷却水の温度を下げますが、密閉型では冷却水が配管の中を通っており、その配管に散水して冷却水の温度を下げます。
そのため、密閉型では冷却水が直接外気に触れることはありません。ただし、散水用のポンプや冷却水配管などが必要となるため、設備が大型化しやすいという特徴があります。
※画像内で、冷却水は循環水と表記されています
その他に開放型冷却塔と密閉型冷却塔の違いについて、ビル管理士試験で重要な項目をまとめました。
| 項目 | 開放型冷却塔 | 密閉型冷却塔 |
|---|---|---|
| 冷却方式 | 冷却水と外気が直接接触し、気化熱で冷却 | 冷却水はコイル内を循環し、コイル外側の散布水と間接的に熱交換 |
| 保有水量 | 多い | 少ない |
| 水質管理 | 冷却水自体が、直接外気に触れるためレジオネラ属菌対策など水質管理が重要。 | 冷却水は外気に触れず清浄だが、散布水のレジオネラ属菌対策など水質管理が必要。 |
| 構造 | 構造がシンプルなので設置スペースが比較的小さい。 | 構造が複雑なので、同じ能力なら大型になりやすい。 内部構造が複雑なので大きな送風機動力が必要。 |
| 用途 | 一般空調、工場、発電所など幅広い用途 | 電算室、クリーンルーム、病院など高い水質が求められる用途 |
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