問題
熱移動に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 一般に、同一材料でも内部に水分を多く含むほど、熱伝導率は大きくなる。 |
2. | 固体内を流れる熱流は、局所的な温度勾配に熱伝導抵抗を乗じて求められる。 |
3. | 一般に、密度が大きい材料ほど、熱伝導率は大きくなる。 |
4. | 中空層の熱抵抗は、一定の厚さ(2~5cm)までは厚さが増すにつれて増大するが、それ以上ではほぼ一定となる。 |
5. | ガラス繊維などの断熱材の熱伝導率が小さいのは、繊維材によって内部の空気の流動が阻害されるためである。 |
回答と解説動画
正解は(2)
1.一般に、同一材料でも内部に水分を多く含むほど、熱伝導率は大きくなる。
→ 正しい
例えば、コンクリートや木材、断熱材などの多孔質材料は、内部に空気を多く含んでいると熱伝導率が低くなります(空気はとても断熱性が高い)。
しかし、これらの材料が湿気を吸って水分を多く含むと、水は空気よりも熱伝導率がはるかに高いため、材料全体の熱伝導率も大きくなり、熱が伝わりやすくなります。
実際、建物の断熱性能は「乾燥時」と「湿潤時」で大きく変わるため、ビル管理の現場でも湿気対策が重要です。
2.固体内を流れる熱流は、局所的な温度勾配に熱伝導抵抗を乗じて求められる。
→ 不適当
熱流は、「熱伝導率×温度勾配」で求めます。また、熱伝導抵抗(R)を使う場合は「温度差÷熱伝導抵抗」で計算します。
3.一般に、密度が大きい材料ほど、熱伝導率は大きくなる。
→ 正しい
金属や石、コンクリートなど密度が高い材料は、分子や原子が密集しているため、熱エネルギーが効率よく伝わります。
逆に、発泡スチロールやグラスウールなどの断熱材は、密度が低く、内部に多くの空気を含むため熱伝導率が小さくなります。
4.中空層の熱抵抗は、一定の厚さ(2~5cm)までは厚さが増すにつれて増大するが、それ以上ではほぼ一定となる。
→ 正しい
壁や窓の中空層(空気層)は、厚さが増すと最初は熱抵抗も増えますが、ある厚さ(2~5cm程度)を超えると、熱抵抗がほぼ一定になります。
5.ガラス繊維などの断熱材の熱伝導率が小さいのは、繊維材によって内部の空気の流動が阻害されるためである。
→ 正しい
ガラス繊維などの断熱材は、繊維が空気の流動(対流)を抑えることで、熱伝導率が小さくなっています。
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