問題
ヒトと水に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 身体全体の水分の収支として、尿や汗などにより排出した水分を補うのは、飲料による水分、食物中に含まれる水分、そして体内で生ずる代謝水である。 |
2. | 体重の1%以上の水分の欠乏があると喉の渇きが出現する。 |
3. | ヒトは、食料がなくても飲料水があれば数十日生きることができる。 |
4. | 成人のヒトにおいて、体重の約2/3は水分からなる。 |
5. | 体内では細胞内液より細胞外液の方が多い。 |
回答と解説動画
正解は(5)
1.身体全体の水分の収支として、尿や汗などにより排出した水分を補うのは、飲料による水分、食物中に含まれる水分、そして体内で生ずる代謝水である。
→正しいです。摂取水分は飲料水・食物・代謝水から得られ、排出は尿・皮膚・呼吸・便などによって行われます。
2.体重の1%以上の水分の欠乏があると喉の渇きが出現する。
→正しいです。体重の1%を超える水分欠乏で喉の渇きが生じます。
水分欠乏率 | 主な症状・影響 |
---|---|
1% | のどの渇き |
2% | 強い渇き、ぼんやりする、重苦しい、食欲減退、血液濃縮 |
4% | 動きのにぶり、皮膚の紅潮、いらいら、疲労、嗜眠、吐気、感情不安定 |
6% | 手足の震え、熱性抑うつ症昏迷、頭痛、体温上昇、脈拍・呼吸数増加 |
8% | 呼吸困難、めまい、チアノーゼ、言語不明瞭、精神錯乱 |
10~12% | 筋けいれん、平衡機能失調、失神、舌の腫張、循環不全、腎機能不全 |
15~17% | 皮膚がしなびる、飲み込み困難、目の前が暗くなる、目がくぼむ、排尿痛、聴力損失、皮膚感覚鈍化、舌のしびれ、眼瞼硬直 |
18% | 皮膚のひび割れ、尿生成の停止 |
20% | 死亡 |
3.ヒトは、食料がなくても飲料水があれば数十日生きることができる。
→正しいです。飲料水さえあれば数十日生存可能とされています。
環境や体調によって多少前後しますが、水なしでは数日(3~5日)が限界と考えられています。
4.成人のヒトにおいて、体重の約2/3は水分からなる。
→正しいです。成人の体内水分量は体重の約60%(2/3程度)です。
5.体内では細胞内液より細胞外液の方が多い。
→不適当です。体重の約2/3は水分と説明しましたが、そのうち40%が細胞内液、20%細胞外液です。つまり、細胞内液が約2/3、細胞外液が約1/3となるため、細胞内液の方が多いです。

ポイント
- 体内の水分は摂取(飲料・食物・代謝水)と排出(尿・皮膚・呼吸・便)でバランスする。
- 体重の1%の水分欠乏で喉の渇き、10%を超えると筋けいれんなど重篤な症状、20%で死亡。
- 成人の体内水分量は体重の約60%(2/3程度)。
- 体液は細胞内液が約2/3、細胞外液が約1/3で細胞内液の方が多い。
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