ビル管理士 2024年(R6年) 問36  過去問の解説【建築物の環境衛生】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

振動に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.局所振動の場合、振動数が大きければ大きいほど健康影響は大きい。
2.局所振動により、レイノー現象といわれる指の末梢(まっしょう)循環障害が起こる。
3.フォークリフトの運転の際の全身振動により、胃下垂が生じる。
4.局所振動による神経障害が進行すると筋肉が萎縮し、手指の伸展が困難となる。
5.道路交通などによる振動は、地面を伝搬し、建築物内で全身振動として知覚される。
created by Rinker
¥2,200 (2025/06/20 09:31:41時点 Amazon調べ-詳細)

回答と解説動画

正解は(1)

1.局所振動の場合、振動数が大きければ大きいほど健康影響は大きい。
→不適当です。局所振動で問題となる振動数は「約8~1,000Hz」とされていますが、振動数が大きいほど健康影響が大きいとは限りません。振動数によって生じる健康影響の種類が異なり、一概に振動数が大きいほど影響が大きいとは言えません。

2.局所振動により、レイノー現象といわれる指の末梢(まっしょう)循環障害が起こる。
→正しいです。局所振動障害の代表的な症状として、レイノー現象(白ろう病)があり、指の末梢血管の循環障害が生じます。

レイノー現象(白ろう病)は、手持ち振動工具の長期間使用などによる局所振動が原因で発生する指の末梢循環障害です。
この現象は、手指の血行が悪くなり、寒冷時や作業後に指先が白く変色し、冷えやしびれ、痛みを伴うことが特徴です。
「白ろう病」とも呼ばれ、レイノー現象は冬期に起こりやすいことが知られています。

3.フォークリフトの運転の際の全身振動により、胃下垂が生じる。
→正しいです。全身振動(特に垂直方向の振動)は、胃下垂や乗り物酔いなどの内臓障害を引き起こすことがあります。

4.局所振動による神経障害が進行すると筋肉が萎縮し、手指の伸展が困難となる。
→正しいです。局所振動が長期間続くと、末梢神経障害が進行し、筋肉の萎縮や手指の運動障害(伸展困難など)が生じます。

5.道路交通などによる振動は、地面を伝搬し、建築物内で全身振動として知覚される。
→正しいです。道路交通などによる振動は地面を伝わって建築物内で全身振動として知覚されることがあります。

局所振動と全身振動まとめ

項目局所振動全身振動
原因手持ち工具(チェーンソー、削岩機)など車両運転(フォークリフト、バス)など
周波数8~1,000Hz1~90Hz(低周波)
健康影響白ろう病(指の蒼白化)、末梢神経障害、骨・関節障害など                              胃下垂、乗り物酔い、血圧上昇、腰痛、内臓機能障害、自律神経機能失調(車酔い・船酔いなど)、不快感、睡眠障害、胃腸障害、脊柱の異常など
評価方法手指への振動曝露量鉛直・水平振動の両方で測定

ポイント

  • 局所振動で問題となる振動数は「約8~1,000Hz」であり、振動数が大きいほど健康影響が大きいとは限らない。
  • 局所振動による代表的な障害はレイノー現象(指の末梢循環障害)。
  • 全身振動は胃下垂や乗り物酔いなどの内臓障害を引き起こすことがある。
  • 局所振動による神経障害が進行すると筋萎縮や手指の運動障害が生じる。
  • 道路交通などによる振動は、地面を伝わって建築物内で全身振動として知覚される。

解説動画

解説動画はまだありません

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次