ビル管理士 2024年(R6年) 問66  過去問の解説【空気環境の調整】

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問題

冷凍機に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.二重効用吸収冷凍機は、蒸発プロセスを増やすことにより単効用型吸収冷凍機の成績係数を高めたものである。
2.スクリュー圧縮機を用いた冷凍機は、スクロール圧縮機を用いたものより、冷凍容量が大きな範囲に使用される。
3.遠心圧縮機は、容積式圧縮機と比較して、吸込み、圧縮できるガス量が大きくとれるという特徴がある。
4.往復動圧縮機は、シリンダ内のピストンが往復運動することで、冷媒ガスを圧縮する。
5.遠心圧縮機を用いた冷凍機は、羽根車の高速回転が可能であり、大容量になってもコンパクトにすることができる。
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回答と解説動画

正解は(1)

1.二重効用吸収冷凍機は、蒸発プロセスを増やすことにより単効用型吸収冷凍機の成績係数を高めたものである。
→ 不適当
二重効用吸収冷凍機は、「蒸発プロセス」を増やすのではなく、「再生器」を高温用と低温用の2段に分けて熱を有効に使うことで成績係数(COP)を高めたものです。

2.スクリュー圧縮機を用いた冷凍機は、スクロール圧縮機を用いたものより、冷凍容量が大きな範囲に使用される。
→ 正しい
スクリュー圧縮機は、2本のねじ状のローターが回転しながら冷媒ガスを圧縮する方式で、耐久性が高く、連続運転や中~大型の冷凍機に多く使われます。
一方、スクロール圧縮機は、2枚の渦巻き状の部品で冷媒を圧縮する方式で、主に小型~中型のパッケージエアコンや家庭用エアコンに使用されます。

スクリュー圧縮機は下図のように2本のローターの間に冷媒が入り圧縮されます。(画像内の説明では空気となっていますが冷凍機では冷媒が入ります)

出典:日立産機システム

スクロール圧縮機は下図のような構造となっており、旋回側の渦巻きが動くことで冷媒を圧縮します。

3.遠心圧縮機は、容積式圧縮機と比較して、吸込み、圧縮できるガス量が大きくとれるという特徴がある。
→ 正しい
遠心圧縮機(ターボ型)は、羽根車を高速回転させ、遠心力で冷媒ガスを圧縮します。この方式は一度に大量のガスを処理できるため、大容量の冷凍機やビル用大型空調機に適しています。

4.往復動圧縮機は、シリンダ内のピストンが往復運動することで、冷媒ガスを圧縮する。
→ 正しい
往復動圧縮機は、自動車エンジンと同じく、ピストンがシリンダ内を往復してガスを圧縮します。

下図でいうと、左側のピストンロッドで冷媒を圧縮しています。

出典:鉄原実業株式会社

5.遠心圧縮機を用いた冷凍機は、羽根車の高速回転が可能であり、大容量になってもコンパクトにすることができる。
→ 正しい
遠心圧縮機は羽根車を高速回転させて冷媒ガスを圧縮するため、構造的にシンプルで、同じ容量なら容積式よりもコンパクトに設計できます。大容量でも機械室のスペースを節約できるため、都市部の大型ビルや地域冷暖房のプラントで重宝されています。

圧縮機の種類

分類種類圧縮原理・構造主な特徴・用途
容積式往復動式
(レシプロ)
ピストンがシリンダ内を往復運動して冷媒を圧縮小~中容量。耐久性高いが振動・騒音大。
スクロール式渦巻き状の固定スクロールと渦巻き状の旋回スクロールの旋回により冷媒を圧縮小~中容量。静音・高効率。家庭用・小型パッケージ。
スクリュー式2本のねじ状ロータで冷媒を圧縮中~大容量。連続運転向き。ビル用・産業用。
ロータリー式偏心ロータとベーンで三日月空間を圧縮小型機器や家庭用エアコン。
遠心式遠心式(ターボ)羽根車(インペラ)の遠心力で冷媒を圧縮大容量。ビル・地域冷暖房。コンパクト・静音。

解説動画

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