問題
換気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 1人当たりの必要換気量は、呼吸による酸素の消費量を基準として求めることが多い。 |
2. | 換気回数は、換気量を室容積で除したものである。 |
3. | 局所換気は、室全体ではなく、汚染物質が発生する場所を局所的に換気する方法である。 |
4. | 機械換気は、送風機や排風機等の機械力を利用して室内の空気の入替えを行う方法である。 |
5. | 自然換気の原動力は、建物外部の風や建物内外の温度差である。 |
回答と解説動画
正解は(1)
1.1人当たりの必要換気量は、呼吸による酸素の消費量を基準として求めることが多い。
→ 不適当。
必要換気量は、二酸化炭素(CO₂)の発生量を基準に計算されます。建築基準法や建築物衛生法では、CO₂濃度を1,000ppm以下に保つための換気量が基準です。酸素消費量を基準とする記述は誤りです。
2.換気回数は、換気量を室容積で除したものである。
→ 正しい。
換気回数(回/h)=換気量(m³/h)÷室容積(m³)で計算されます。感染症対策では「毎時2回以上」が推奨されます。
3.局所換気は、室全体ではなく、汚染物質が発生する場所を局所的に換気する方法である。
→ 正しい。
キッチンのレンジフードや実験室のドラフトチャンバーなど、汚染源を直接排気する方法です。
4.機械換気は、送風機や排風機等の機械力を利用して室内の空気の入替えを行う方法である。
→ 正しい。
第1種~第3種換気方式に分類され、安定した換気を実現します。
5.自然換気の原動力は、建物外部の風や建物内外の温度差である。
→ 正しい。
風力(風圧差)や温度差(浮力)を利用し、エネルギー消費が少ない反面、制御性に劣ります。
ポイント
- 必要換気量の基準はCO₂濃度(1,000ppm以下)に基づく。
- 換気回数=換気量÷室容積。感染症対策では外気換気回数が重要。
- 局所換気は汚染源の直近で排気し、効率的に空気質を維持。
- 機械換気は第1種~第3種方式を理解(特に第3種換気はトイレや厨房で多用)。
機械換気の補足

1.第1種換気方式:給気(外気を取り込む)と排気(室内の空気を排出)の両方を機械で行う方式です。
- メリット:給排気とも機械で制御するため、換気量・換気経路が安定し、計画通りの換気が可能です。気密性に左右されにくく、全熱交換型などでは温度・湿度のロスも抑えられます。
- デメリット:給気・排気の両方に機械が必要なため、導入コスト・運用コストが高くなる点です。
2.第2種換気方式:給気のみを機械で行い、排気は自然に任せる方式です。
- メリット:室内が正圧になり、外部からの汚染物質や粉じんの侵入を防ぎやすいため、クリーンルームや病院などで使われます。
- デメリット:住宅では使われることが少なく、気密性が低いと内部結露などの問題が起こりやすいです。
3.第3種換気方式:給気は自然に、排気のみを機械で行う方式です。
- メリット:設置費用・運用コストが安く、メンテナンスも容易なため、一般住宅やトイレ・キッチンなどで広く採用されています。
- デメリット:給気を自然に頼るため、気密性が低い建物では計画通りの換気ができない場合があります。
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