問題
電離放射線に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | ベータ線やアルファ線は粒子線である。 |
2. | X線の遮蔽には、鉛の板などを用いる。 |
3. | 細胞で放射線感受性が最も高いのはリンパ球である。 |
4. | 放射線の健康影響のうち、発がんは確定的影響に分類される。 |
5. | 胎児は放射線被ばくに対して高感受性である。 |
回答と解説動画
正解は(4)
1.ベータ線やアルファ線は粒子線である。
→正しいです。ベータ線(電子線)やアルファ線(ヘリウム原子核)は、いずれも粒子線に分類されます。
2.X線の遮蔽には、鉛の板などを用いる。
→正しいです。X線の遮蔽材として鉛板が用いられるのは基本知識です。
放射線の種類 | 分類 | 遮蔽材 | 特徴 |
---|---|---|---|
α線 (アルファ線) | 粒子線 | 紙1枚や薄いプラスチック、空気数cm | 透過力が非常に弱く、皮膚表面も通過できない |
β線 (ベータ線) | 粒子線 | アルミニウム板やアクリル板(1~2mm程度) | α線より透過力は強いが、厚い金属や鉛板は不要 |
γ線・X線 (ガンマ線・X線) | 電磁波 | 鉛板や鉄板などの重くて密度の高い材料 | 重い金属で遮蔽が必要 |
3.細胞で放射線感受性が最も高いのはリンパ球である。
→正しいです。リンパ球は細胞分裂が活発で、放射線感受性が最も高い細胞の一つです。
4.放射線の健康影響のうち、発がんは確定的影響に分類される。
→不適当です。発がんは確率的影響に分類されます。確定的影響は脱毛や白内障など、一定線量を超えると必ず発生する影響を指しますが、発がんは被ばく線量が増えるほど発生確率が高まる影響です。
確定的影響(閾値あり) | 確率的影響(閾値なし) |
---|---|
脱毛 不妊 皮膚潰瘍 白内障 皮膚障害 | がん(悪性腫瘍) 白血病 遺伝子異常/遺伝的影響 染色体異常 |
5.胎児は放射線被ばくに対して高感受性である。
→正しいです。胎児は細胞分裂が活発なため、放射線感受性が高いとされています。
ポイント
- ベータ線・アルファ線は粒子線である。
- X線の遮蔽には鉛板が用いられる。
- 放射線感受性が最も高いのはリンパ球。
- 発がんは確率的影響、確定的影響ではない。
- 胎児は放射線被ばくに対して高感受性である。
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