問題
雑用水として使用する場合の標準的な雨水処理施設における次の処理フローの( )内に入る単位装置の組合せとして、最も適当なものはどれか。
集水 ⇒ スクリーン ⇒ (ア) ⇒ (イ) ⇒ 雨水貯留槽 ⇒ 消毒装置 ⇒ 雑用水槽 ⇒ 給水
ア | イ | |
1. | 沈砂槽 | 活性炭吸着装置 |
2. | 流量調整槽 | 活性炭吸着装置 |
3. | 沈砂槽 | 沈殿槽 |
4. | 生物処理槽 | 沈殿槽 |
5. | 流量調整槽 | 生物処理槽 |
回答と解説動画
正解は(3)
標準的な雨水処理施設の処理フローにおいて、各単位装置の配置は以下のようになります。(仕様によって多少異なります)
- 集水 ⇒ スクリーン ⇒ 沈砂槽 ⇒ 沈殿槽 ⇒ 雨水貯留槽 ⇒ 消毒装置 ⇒ 雑用水槽 ⇒ 給水
- 集水
建物や敷地内に降った雨水を、屋根や舗装面などから雨樋や排水溝を通じて効率的に集める工程です。 - スクリーン
集めた雨水に混入している落ち葉やゴミなどの比較的大きな異物を除去するための格子状の装置です。
これにより、後続の設備の目詰まりや故障を防ぎます。 - 沈砂槽
雨水に含まれる砂や土砂など、比重の大きい粒子を重力で沈降させて除去する槽です。
この工程で細かい砂利や泥が取り除かれ、後工程の負荷が軽減されます。 - 沈殿槽(無い場合もある)
沈砂槽で除去できなかったさらに細かい浮遊物や懸濁物質を、時間をかけて沈降させる槽です。
ここで上澄みのきれいな水と沈殿した汚泥に分離します。 - 雨水貯留槽
沈殿処理された雨水を一時的に貯めておくための大型タンクや地下槽です。 - ろ過装置(無い場合もある)
雨水に含まれるゴミや汚れなどの不純物を、ろ過材を使用して除去します。 - 消毒装置
貯留された雨水に塩素などで消毒処理を施し、細菌やウイルスなどの有害微生物を殺菌します。
これにより、雑用水として安全に利用できる水質が確保されます。 - 雑用水槽
消毒後の雨水を再利用用途(トイレ洗浄水、散水、清掃用水など)に供給する前に一時的に貯めておく槽です。
ここからポンプなどで各利用先に給水されます。 - 給水
最終的に処理・消毒された雨水を、雑用水として建物内外のトイレ、散水、清掃などの用途へ供給します。
5.png)
ア:沈砂槽 イ:沈殿槽
沈砂槽は砂や大きな粒子を除去するために用いられ、沈殿槽はさらに細かい浮遊物や懸濁物質を沈降させるために設置されます。
したがって、最も適当なのは
3.ア:沈砂槽 イ:沈殿槽
です。
なお、選択肢にある「流量調整層」「生物処理槽」「活性炭吸着装置」は、汚染度の高い排水を再利用する場合に使われます。生物処理槽では、水中に含まれる有機物の分解を行い、活性炭吸着装置では臭いや色を除去します。また、流量調整層は排水の流量を一定に保つための装置です。
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