問題
ボイラに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 鋳鉄製ボイラは、高温・高圧の蒸気の発生に適している。 |
2. | 炉筒煙管ボイラは、直径の大きな横型ドラムを本体とし、燃焼室、煙管群で構成される。 |
3. | 貫流ボイラは、水管壁に囲まれた燃焼室及び水管群からなる対流伝熱面で構成される。 |
4. | 真空式温水発生器は、容量によらずボイラに関する取扱い資格は不要である。 |
5. | 真空式温水発生器は、缶体内を真空に保持して水を沸騰させ、熱交換器に伝熱する。 |
回答と解説動画
正解は(1)
1. 鋳鉄製ボイラは、高温・高圧の蒸気の発生に適している。
→不適当
鋳鉄製ボイラは、鋳鉄の材質上、圧力や温度の急変に弱く、高温・高圧の蒸気発生には適していません。
主に暖房用の低圧蒸気ボイラや温水ボイラとして使用され、蒸気の場合で最高使用圧力は0.1MPa以下、温水の場合で0.5MPa以下で、かつ温水温度は120℃以下と制限されています。
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出典:前田鉄工所
- 鋳鉄製のセクション(パーツ)を複数組み合わせて作る構造。
- 高温・高圧・大規模のものは製作できない。
- 主に低温・低圧の温水・蒸気ボイラーとして暖房や給湯用に使われる。
- 鋳鉄製のセクション内部の清掃が難しい。
- 上記理由より、スケール(湯あか)防止のため装置系を密閉系で設計・使用する。
- 蒸気使用で最高使用圧力0.1MPa以下、温水使用で0.5MPa以下で、温度は120℃以下とする。
2. 炉筒煙管ボイラは、直径の大きな横型ドラムを本体とし、燃焼室、煙管群で構成される。
→正しい
炉筒煙管ボイラは、横型の大きなドラムを本体とし、内部に燃焼室(炉筒)と多数の煙管(煙を流す管)を備えています。
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- 直径の大きな横型ドラムを本体とし、燃焼室、煙管群で構成される。
- 洗浄・消毒等の用途に高圧蒸気を必要とする病院・ホテル等で多く採用されている。
- 保有水量が多く、負荷変動に強い(圧力や水位の変動が小さい)。
3. 貫流ボイラは、水管壁に囲まれた燃燒室及び水管群からなる対流伝熱面で構成される。
→正しい
貫流ボイラは、燃焼室を水管壁で囲み、多数の水管群を通して水を加熱し、蒸気や温水を作ります。構造がコンパクトで、熱効率が高いのが特徴です。
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- 保有水量が少ないため、比較的短時間で蒸気を発生させることができる。
- 保有水量が少ないため、一度に大量の蒸気の使用には不向き。
- 水管壁に囲まれた燃焼室及び水管群からなる対流伝熱面で構成される。(ドラムがない)
- 耐圧性に優れている。
- 給湯用貫流ボイラは、一度に大量の温水の使用には不向き。
- コンパクトで省スペース、小型化しやすい。
4. 真空式温水発生器は、容量によらずボイラに関する取扱い資格は不要である。
→正しい
真空式温水発生器は、缶体内を大気圧より低く保つため、労働安全衛生法上の「ボイラ」には該当せず、容量に関係なくボイラ技士の資格は不要です。
5. 真空式温水発生器は、缶体内を真空に保持して水を沸騰させ、熱交換器に伝熱する。
→正しい
真空式温水発生器は、缶体内を真空にして水を低温で沸騰させ、その蒸気で熱交換器を通して温水を作ります。安全性が高く、資格も不要です。
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