ビル管理士 2022年(R4年) 問62　 過去問の解説【空気環境の調整】

問題

下に示す湿り空気線図上のア～オは、加湿・除湿操作による状態変化を表している。各状態変化と加湿・除湿操作との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。

回答と解説動画

正解は（1）

１．ア　蒸気加湿
→ 不適当
蒸気加湿は、空気に高温の蒸気を直接加えるため、絶対湿度が増加し（上方向）、乾球温度もわずかに上昇します（真上～やや右上方向）。しかし、図のアは乾球温度が下がる方向を示しており、蒸気加湿の状態変化とは一致しません。したがって、この組合せは不適当です。

２．イ　気化式加湿
→ 正しい
気化式加湿は、水が蒸発する際に気化熱を奪うため、絶対湿度が増加し（上方向）、乾球温度は下がります（左上方向）。図のイはこの動きを示しており、気化式加湿に該当します。

３．ウ　空気冷却器による冷却除湿
→ 正しい
空気冷却器による冷却除湿は、空気を冷却して露点以下にし、湿度を下げる操作です。絶対湿度・乾球温度ともに低下します（左下方向）。図のウはこの動きを示しています。

４．エ　液体吸収剤による化学的除湿
→ 正しい
液体吸収剤による化学的除湿は、水分を吸収する際に吸収熱で乾球温度がやや上昇します。絶対湿度が下がり、乾球温度がやや上がる（右下方向）動きとなり、図のエに該当します。

これは吸収式冷凍機における「吸収器」で起こる反応と同じです。令和6年問65参照

５．オ　シリカゲルなどの固体吸着剤による除湿
→ 正しい
固体吸着剤（シリカゲル等）による除湿は、吸着熱で乾球温度が上昇しやすいのが特徴です。絶対湿度が下がり、乾球温度が比較的大きく上がる（右下方向）動きとなり、図のオに該当します。

ヘタ・レイ

除湿のときに反応熱が起きて乾球温度が上昇することは覚えておきましょう！（固体吸着のほうが上昇幅が大きい）

加湿の分類については令和6年問70を参照

解説動画