ビル管理士 2021年(R3年) 問78　 過去問の解説【空気環境の調整】

問題

光散乱式の粉じん計を用いて室内の浮遊粉じんの相対濃度を測定したところ、3分間当たり90カウントであった。

この粉じん計のバックグランド値は10分間当たり60カウントで、標準粒子に対する感度が1分間当たり1カウント0.001mg/m³、室内の浮遊粉じんに対する較正係数が1.3であるとすると、室内の浮遊粉じんの量として、最も近い数値は次のうちどれか。

回答と解説動画

正解は（2）

この問題は、光散乱式粉じん計を使って測定されたカウント数から、室内の浮遊粉じん濃度を求める計算問題です。

まず、与えられた測定値は「3分間で90カウント」なので、1分あたりの測定値に換算すると
90 ÷ 3 = 30カウント/分 となります。

次に、バックグラウンド値は「10分間で60カウント」とあるので、こちらも1分あたりに換算すると
60 ÷ 10 = 6カウント/分 です。

「バックグラウンド値」とは、測定対象がない状態でも粉じん計が自然に検出してしまうカウント（背景ノイズ）のことです。
たとえば、測定環境に粉じんがほとんどなくても、機器内部の電子ノイズや微小な自然粒子によって、少しだけカウントが発生することがあります。この「本来の測定とは無関係なカウント数」をあらかじめ測定しておき、実際の測定値から差し引くことで、正味の粉じん量を求めるのに使います。

したがって、粉じんによる正味のカウント数は
30（測定値）− 6（バックグラウンド）＝ 24カウント/分

感度は「1カウント/分＝0.001 mg/m³（標準粒子の場合）」なので、
24カウント/分 × 0.001 mg/m³ = 0.024 mg/m³

ただし、実際に測定しているのは標準粒子ではなく「室内の浮遊粉じん」であるため、較正係数1.3を掛けて補正します。
0.024 × 1.3 = 0.0312 mg/m³

よって、最も近い選択肢は
2．0.03 mg/m³

ヘタ・レイ

覚える必要はないですが、下の写真が光散乱式粉じん計です。
機器の内部にあるレーザーなどの光源が、室内から吸い込んだ空気中の粉じんに向かって光を照射します。粉じんに当たった光は、四方八方に散乱しますので、これを一定方向に設置された受光部が検出します。

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