ビル管理士 2021年(R3年) 問76  過去問の解説【空気環境の調整】

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問題

空気調和設備のポンプ・配管に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.ポンプの損失水頭は、管内流速の2乗に比例する。
2.片吸込み渦巻きポンプは、ターボ型ポンプに分類される。
3.歯車ポンプは、油輸送などの粘度の高い液体の輸送用途に用いられることが多い。
4.ポンプの急停止による水撃作用を防止するには、緩閉式逆止め弁を用いる方法がある。
5.キャビテーションとは、流量と圧力の周期的な変動が続き運転が安定しない現象をいう。

回答と解説動画

正解は(5)

1. ポンプの損失水頭は、管内流速の2乗に比例する。
→正しい
損失水頭(配管内の摩擦損失)は、管内流速の2乗に比例します。

2. 片吸込み渦巻きポンプは、ターボ型ポンプに分類される。
→正しい
片吸込み渦巻きポンプは、羽根車の回転で流体にエネルギーを与える「ターボ型ポンプ(遠心ポンプ)」に分類されます。

片吸込み渦巻きポンプ
出典:横田製作所

3. 歯車ポンプは、油輸送などの粘度の高い液体の輸送用途に用いられることが多い。
→正しい
歯車(ギヤ)ポンプは、粘度の高い液体や油の輸送に適しています。
以下の画像は歯車ポンプの内部構造です。内部の流体は、2枚の歯車が噛み合いながら回転することで移動します。

出典:ダイキン工業

4. ポンプの急停止による水撃作用を防止するには、緩閉式逆止め弁を用いる方法がある。
→正しい
ポンプ停止時の水撃対策として、緩閉式逆止め弁がよく使われます。

ウォーターハンマー(水撃作用)は、配管内の流体の流速が急激に変化したときに、圧力が急上昇または急降下し、配管や機器に衝撃が発生する現象です。
対策としては、急停止・急起動やバルブの急開閉を避け、ゆっくりと操作することで圧力変動を抑えたり、問題文にあるように逆流や急激な流れの変化を防ぐために、緩閉式逆止め弁(緩やかに閉まる逆止め弁)を設置します。

5. キャビテーションとは、流量と圧力の周期的な変動が続き運転が安定しない現象をいう。
→不適当
キャビテーションとは、水が「沸騰」して小さな泡(気泡)ができ、それが壊れることで「ガリガリ」「ゴロゴロ」といった音や振動、ポンプの損傷を引き起こす現象です。
ポンプで水を吸い上げるとき、吸い込み口の圧力がとても低くなることがあります。水は圧力が低くなると、温度が高くなくても「沸騰」して泡になります。この泡はポンプの中で流れていき、圧力が高いところに来ると一気に潰れます。これがキャビテーション発生の流れです。
なお、問題文にある「流量と圧力の周期的な変動が続き運転が安定しない現象」とは、サージングのことです。

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