ビル管理士 2021年(R3年) 問68  過去問の解説【空気環境の調整】

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問題

熱源方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.ヒートポンプ方式は、1台で温熱源と冷熱源を兼ねることができる。
2.蓄熱システムにおける顕熱利用蓄熱体として、氷、無機水和塩類が用いられる。
3.ヒートポンプ方式は、地下水や工場排熱等の未利用エネルギーも活用することができる。
4.太陽熱を利用した空調熱源システムは、安定的なエネルギー供給が難しい。
5.吸収式冷凍機+蒸気ボイラ方式は、空調以外に高圧蒸気を使用する用途の建物で用いられることが多い。

回答と解説動画

正解は(2)

1.ヒートポンプ方式は、1台で温熱源と冷熱源を兼ねることができる。
→ 正しい
ヒートポンプは、冷房も暖房もできる機械です。夏は部屋の熱を外に出して冷やし、冬は外の熱を部屋に取り込んで暖めます。1台で冷水も温水も作れるので、冷暖房両方に使えます。

2.蓄熱システムにおける顕熱利用蓄熱体として、氷、無機水和塩類が用いられる。
→ 不適当
氷や無機水和塩類は、「潜熱」を利用する蓄熱体です。氷が溶けたり固まったりするときに大きな熱の出入りがある(これが潜熱)ので、たくさんの熱を効率よく蓄えたり取り出したりできます。顕熱利用の場合は、水やコンクリート、砂など、温度変化で熱を蓄える材料が使われます。

顕熱とは、温度変化に伴い変化する熱のこと、潜熱とは、物質の状態変化(融解、蒸発など)に必要とされる熱のことです。

蓄熱システムに必要な蓄熱層については令和2年問66で解説しています。

3.ヒートポンプ方式は、地下水や工場排熱等の未利用エネルギーも活用することができる。
→ 正しい
ヒートポンプは、電力を使って周囲の熱をくみ上げ、別の場所へ移動させる装置であり、この「周囲の熱」には空気だけでなく、地下水や排熱といった本来捨てられていた低温の熱源も含まれます。
たとえば地下水は、年間を通して温度がほぼ一定(15℃前後)で安定しているため、冬は暖房用の熱源として、夏は冷房の冷熱源として利用できます。特に寒冷地では、外気が極端に冷えると空気熱源の効率が落ちますが、地下水を利用すれば安定して高効率な運転が可能となります。

4.太陽熱を利用した空調熱源システムは、安定的なエネルギー供給が難しい。
→ 正しい
太陽熱は天気や時間帯によって得られる量が大きく変わります。曇りや雨の日、夜間は十分な熱が得られないため、安定してエネルギーを供給するのが難しいという課題があります。

5.吸収式冷凍機+蒸気ボイラ方式は、空調以外に高圧蒸気を使用する用途の建物で用いられることが多い。
→ 正しい
病院やホテル、工場などでは、空調だけでなく給湯や消毒などにも高圧蒸気を使います。こうした建物では、蒸気ボイラと吸収式冷凍機を組み合わせたシステムがよく使われています。

吸収式冷凍機については令和6年問65参照

解説動画

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