ビル管理士 2021年(R3年) 問40  過去問の解説【建築物の環境衛生】

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問題

水質汚濁に係る環境基準項目に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

1.ヒ素は、急性ばく露により皮膚の色素沈着を起こす。
2.亜鉛は、水俣(みなまた)病の原因となる。
3.カドミウムは、水質汚濁に関する環境基準において検出されないこととなっている。
4.アルキル水銀は、生物学的濃縮を起こす。
5.ベンゼンは、ヒトに対する発がん性は認められない。

回答と解説動画

正解は(4)

1.ヒ素は、急性ばく露により皮膚の色素沈着を起こす。
→ 不適当
ヒ素の急性ばく露による主な症状は、嘔吐、下痢、発熱などです。皮膚の色素沈着は慢性ばく露による症状であり、急性中毒では現れません。

2.亜鉛は、水俣病の原因となる。
→ 不適当
水俣病の原因は有機水銀(メチル水銀)であり、亜鉛ではありません。

3.カドミウムは、水質汚濁に関する環境基準において検出されないこととなっている。
→ 不適当
カドミウムは水質環境基準で厳しい基準値(0.003mg/L)以下であることが定められていますが、「検出されないこと」とはされていません。

環境基本法における水質汚濁に係る環境基準において「検出されないことと」されている物質:PCB、全シアン、アルキル水銀令和6年問40参照

4.アルキル水銀は、生物学的濃縮を起こす。
→ 正しい
アルキル水銀(特にメチル水銀)は、食物連鎖を通じて生物濃縮を強く起こすことが知られており、水俣病の原因にもなりました。

生物濃縮とは、分解されにくい有害物質が食物連鎖を通じて生物の体内に徐々に蓄積し、最終的にヒトなど食物連鎖の上位にいる生物に高濃度で取り込まれる現象です。
【具体例】有機水銀(メチル水銀):工場排水などから環境中に放出され、プランクトン→小魚→大型魚→ヒトと食物連鎖を通じて濃縮されます。水俣病はこの生物濃縮による公害病の代表例です

5.ベンゼンは、ヒトに対する発がん性は認められない。
→ 不適当
ベンゼンはヒトに対する発がん性が認められており、IARC(国際がん研究機関)でもグループ1(ヒトに対して発がん性あり)に分類されています。

解説動画

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