ビル管理士 2021年(R3年) 問102  過去問の解説【建築物の構造概論】

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問題

火災時の排煙対策に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.自然排煙方式では排煙窓の他に、当該室の下部に給気経路を確保することが望ましい。
2.排煙設備の給気機の外気取入口は、新鮮な空気を取り入れるため屋上に設置するのが望ましい。
3.機械排煙方式では、火災室が負圧になり廊下への漏煙を防止できるが、避難扉の開閉障害が生じるおそれがある。
4.加圧防煙は、階段室への煙の侵入を防止するため階段室付室や廊下に用いられることが多い。
5.第2種排煙の煙排出量は、排煙窓位置での内外圧力差と排煙窓の有効面積で定まる。

回答と解説動画

正解は(2)


1.自然排煙方式では排煙窓の他に、当該室の下部に給気経路を確保することが望ましい。
→正しい
自然排煙方式では、煙を効率よく排出するために、排煙窓から煙を逃がすだけでなく、室内下部に新鮮な空気が入る経路(給気口)を設けることで、煙の排出が円滑になります。

2.排煙設備の給気機の外気取入口は、新鮮な空気を取り入れるため屋上に設置するのが望ましい。
→不適当
排煙設備の給気機の外気取入口は、火災時に排煙機からの煙や熱気を再び吸い込むリスクを避けるため、屋上設置は通常避けます。屋上は煙や熱が集まりやすい場所であり、外気取入口は建物の下部や側面など、煙の影響を受けにくい低い位置に設けるのが基本です。

排煙設備の給気機は、排煙時に必要な量の空気を供給し、火災時の煙の排出を助ける装置です。特に、機械排煙方式において、排煙機が煙を吸い出す際に、外部から新鮮な空気を送り込み、排煙を効率的に行うために用いられます。

3.機械排煙方式では、火災室が負圧になり廊下への漏煙を防止できるが、避難扉の開閉障害が生じるおそれがある。
→正しい
機械排煙方式では、火災室内が負圧になることで煙が廊下などへ漏れるのを防げますが、室内が負圧の状態にあると、扉が開けにくくなることがあります。
これは、室内の気圧が外部よりも低くなっているため、扉を開けようとすると外からの空気が一気に室内へ流れ込もうとし、その空気の圧力が扉を内側へ引っ張るように働くからです。結果として、扉に強い力がかかり、外から押しても開けづらく、内側から引く場合でも重く感じられます。

4.加圧防煙は、階段室への煙の侵入を防止するため階段室付室や廊下に用いられることが多い。
→正しい
加圧防煙方式とは、火災時に避難経路となる廊下や付室を加圧することで、煙の侵入を防ぎ、安全な避難を確保するシステムです。特に高層建築物や避難経路の確保が重要な場所で採用されます.

5.第2種排煙の煙排出量は、排煙窓位置での内外圧力差と排煙窓の有効面積で定まる。
→正しい
第2種排煙(押し出し排煙)は、排煙窓の有効面積と内外圧力差によって排出量が決まります。

第二種排煙方式は、給気ファンで排煙対象室に正圧をかけて、煙を外に押し出す排煙方法で、「押出し排煙」とも呼ばれます。
なお、通常の排煙方式のように、排煙ファンで煙を外に排気する方式は第一種排煙方式になります。

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