第4類危険物と指定数量【危険物乙4テキスト】
ここでは第4類の危険物の種類や性質について解説します。
以下の表は第4類危険物の分類です。
品名 | 主な物質 | 指定数量 | 1気圧における引火点 | |
特殊引火物 | ・ジエチルエーテル ・二硫化炭素 | 50ℓ | -20℃以下 (発火点100℃以下も含む) | |
アルコール類 | ・メチルアルコール ・エチルアルコール | 400ℓ | ・メチルアルコール 11℃ ・エチルアルコール 13℃ | |
第1石油類 | 非水溶性 | ・ガソリン ・ベンゼン ・トルエン | 200ℓ | 21℃未満 |
水溶性 | ・アセトン ・ピリジン | 400ℓ | ||
第2石油類 | 非水溶性 | ・灯油 ・軽油 ・キシレン ・クロロベンゼン | 1,000ℓ | 21℃以上、70℃未満 |
水溶性 | ・酢酸 ・アクリル酸 | 2,000ℓ | ||
第3石油類 | 非水溶性 | ・重油 ・クレオソート油 ・アニリン | 2,000ℓ | 70℃以上、200℃未満 |
水溶性 | ・グリセリン ・エチレングリコール | 4,000ℓ | ||
第4石油類 | ・ギヤー油 ・シリンダー油 | 6,000ℓ | 200℃以上、250℃未満 | |
動植物油類 | ・ナタネ油 ・ヤシ油 ・オリーブ油 ・ニシン油 ・キリ油 | 10,000ℓ | 250℃未満 |
この表は丸暗記する必要があります。練習問題を繰り返し解いて覚えましょう。
次に表中に出てくる用語について解説します。
水溶性・非水溶性
水溶性とは読んで字のごとくで、水に溶けやすい性質かどうかを表しています。
消防法では、ある物質を1気圧20℃で同容量の純水と混ぜたときに、ある程度時間が経過した後も水と物質が分離せずに均一な外観をなしていれば、水溶性であると定義しています。
引火点
液体の温度が高くなると蒸発して蒸気になることは、誰もが知っている自然現象ですよね。
ガソリンなどの可燃性危険物も温度が上がるほど多くの蒸気を発生するのですが、このとき空気中の可燃性蒸気濃度が一定値を超えると火を近づけただけで燃え始めます。
このときの危険物の温度を引火点といいます。
先ほどの表ではアルコール類の引火点は11℃~13℃、ガソリンなどの第1石油類の引火点は21℃未満となっていました。
つまり、これらの物質は常温(20℃)でも可燃性の蒸気を発生させているため、大変危険なものであるということです。
引火点が低いほど危険な物質です!
先ほどの表は、上から引火点が低い順(危険度高)に並んでいます。
発火点も覚えよう
引火点と似た用語で発火点というものがあります。
発火点とは、可燃物を加熱していくと火を近づけなくても自然に燃え始める最低温度のことを指します。
発火点は引火点に比べて高く、例えばガソリンの発火点は300℃となっています。
指定数量(重要)
指定数量とは、消防法で定められた危険物の取扱い、保管、運搬において、その危険性の基準となる数量のことです。
危険物は種類によって指定数量が異なり、危険性の高い危険物は指定数量が少なく、危険性の低い危険物は指定数量が多くなっています。
例えば、特殊引火物の指定数量は「50ℓ」、動植物油類の指定数量は「10,000ℓ」なので、指定数量の低い特殊引火物のほうが危険性が高いということです。(本記事の表参照)
危険物の品名ごとの指定数量は確実に暗記してください!
指定数量以上の危険物の取り扱い方法
指定数量以上の危険物は、消防法で定められた施設以外で貯蔵や取り扱うことが禁止されています。
例えば、第一石油類のガソリンの指定数量は200ℓなので、200ℓ以上のガソリンを保管、取り扱う場合は消防法で定められた施設である必要があります。
消防法で定められた施設に関しては以下の記事で解説します。
なお、指定数量未満の危険物は、それぞれの市町村の条例において貯蔵や取り扱いの基準を定めています。
指定数量の倍数
指定数量の倍数とは、貯蔵または取り扱う危険物の数量を、危険物の種類に応じた指定数量で割った値の事です。
例えば、ガソリンを1,000ℓ貯蔵するとした場合、ガソリンの指定数量は200ℓなので、以下のような計算をします。
つまり、ガソリン1,000ℓの指定数量の倍数は5という事になります。
また、複数種類の危険物を貯蔵した場合の「指定数量の倍数」を求める問題も出題されます。
例えば、ガソリン600ℓ、灯油2,000ℓ、重油4,000ℓを貯蔵する場合の計算は以下とおりです。
※ガソリンの指定数量:50ℓ 灯油の指定数量:1,000ℓ 重油の指定数量:2,000ℓ(本記事の表参照)
答えは7倍となります。
計算方法は危険物の種類ごとに倍数を求め最後に合計するだけです。
指定数量の計算は足し算と割り算しか使いませんので、計算が苦手でも練習問題を繰り返し解けば覚えられるはずです!
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