ビル管理士 2021年(R3年) 問94  過去問の解説【建築物の構造概論】

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問題

鉄骨構造とその材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.降伏比の大きい鋼材は、靭性に優れる。
2.建築構造用鋼材は、降伏点又は耐力の上限と下限が規定されている。
3.鋼材の強度は温度上昇とともに低下し、1,000℃ではほとんど零となる。
4.軟鋼の炭素量は0.12~0.30%である。
5.高力ボルト接合の締め付け時の余長は、ねじ山3以上とする。

回答と解説動画

正解は(1)

1.降伏比の大きい鋼材は、靭(じん)性に優れる。
→不適当
降伏比が小さいほど靭性(材料が持つ粘り強さ)が高くなります。

降伏比は、その材料が「すぐ壊れるタイプ」か「粘り強いタイプ」かを見分ける目安です。
・降伏比が小さい材料→グニャッとよく伸びてから壊れます(粘り強い・壊れにくい)
・降伏比が大きい材料→伸びる余裕が少なく、すぐ壊れます(もろい)
たとえば、地震のときに「降伏比が小さい鋼材」は、壊れずにグニャグニャと曲がって耐えてくれるので安全です。

2.建築構造用鋼材は、降伏点又は耐力の上限と下限が規定されている。
→正しい
建築構造用鋼材には、降伏点または耐力の上限・下限が規定されています。

降伏点とは、材料に力を加えた際に、弾性変形から塑性変形(永久変形)に移行する境界となる応力のことを指します。具体的には、材料に力を加えていくと、初めは力が大きくなるにつれて変形も大きくなりますが、ある点を境に、力を取り除いても元の形に戻らなくなる永久的な変形が起こるようになります。この点を降伏点と呼びます。

3.鋼材の強度は温度上昇とともに低下し、1,000℃ではほとんど零となる。
→正しい
鋼材の強度は温度が上がると低下し、1,000℃付近ではほぼゼロとなります。

4.軟鋼の炭素量は0.12~0.30%である。
→正しい
軟鋼の炭素量は一般的に0.12~0.30%程度です。

軟鋼は、炭素含有量が0.30%未満の低炭素鋼で、主に鉄と炭素の合金から成る材料。 加工が容易で多様な用途に適している非常に汎用性の高い鋼材。
逆に、炭素含有量の多い(0.3%以上)鋼材を硬鋼といいます。

5.高力ボルト接合の締め付け時の余長は、ねじ山3以上とする。
→正しい
高力ボルトの締め付け時の余長(ナットから突出するねじ山)は3山以上とするのが一般的です。

解説動画

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