ビル管理士 2021年(R3年) 問69  過去問の解説【空気環境の調整】

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問題

冷却塔に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.開放型冷却塔は、密閉型と比べて小型である。
2.開放型冷却塔内の冷却水は、レジオネラ属菌の繁殖に注意が必要である。
3.開放型冷却塔は、密閉型冷却塔に比べて送風機動力が増加する。
4.密閉型冷却塔は、電算室、クリーンルーム系統の冷却塔として使用される。
5.密閉型冷却塔は、散布水系統の保有水量が少ないため、保有水中の不純物濃度が高くなる。

回答と解説動画

正解は(3)

1. 開放型冷却塔は、密閉型と比べて小型である。
→ 正しい
開放型冷却塔は、密閉型よりも冷却効率が高く、構造もシンプルなため、同じ能力なら一般的に小型です。

2. 開放型冷却塔内の冷却水は、レジオネラ属菌の繁殖に注意が必要である。
→ 正しい
開放型は冷却水が外気と直接触れるため、レジオネラ属菌などの微生物繁殖リスクが高く、水質管理が重要です。

3. 開放型冷却塔は、密閉型冷却塔に比べて送風機動力が増加する。
→ 不適当
密閉型冷却塔の方が通風抵抗が大きく、送風機動力も大きくなります。開放型は構造がシンプルで通風抵抗が小さいため、送風機動力は小さくて済みます。

4. 密閉型冷却塔は、電算室、クリーンルーム系統の冷却塔として使用される。
→ 正しい
密閉型は冷却水が外気に触れず水質が保たれるため、電算室やクリーンルームなど水質管理が重要な用途で使われます。

5. 密閉型冷却塔は、散布水系統の保有水量が少ないため、保有水中の不純物濃度が高くなる。
→ 正しい
密閉型は散布水系統の水量が少ないため、不純物が濃縮しやすく、水質管理が重要です。

密閉型冷却塔と開放型冷却塔の比較

以下は、開放型冷却塔(左)と密閉型冷却塔(右)の運転イメージです。
両者の一番大きな違いは、冷却水が直接外気に触れるかどうかです。開放型は冷却水が直接空気に触れて蒸発するときの気化熱により冷却水の温度を下げますが、密閉型では冷却水が配管の中を通っており、その配管に散水して冷却水の温度を下げます。
そのため、密閉型では冷却水が直接外気に触れることはありません。ただし、散水用のポンプや冷却水配管などが必要となるため、設備が大型化しやすいという特徴があります。
※画像内で、冷却水は循環水と表記されています

出典:株式会社松井製作所

その他に開放型冷却塔と密閉型冷却塔の違いについて、ビル管理士試験で重要な項目をまとめました。

項目開放型冷却塔密閉型冷却塔
冷却方式冷却水と外気が直接接触し、気化熱で冷却冷却水はコイル内を循環し、コイル外側の散布水と間接的に熱交換
保有水量多い少ない
水質管理冷却水自体が、直接外気に触れるためレジオネラ属菌対策など水質管理が重要。冷却水は外気に触れず清浄だが、散布水のレジオネラ属菌対策など水質管理が必要。
構造構造がシンプルなので設置スペースが比較的小さい。構造が複雑なので、同じ能力なら大型になりやすい。
大きな送風機動力が必要。
用途一般空調、工場、発電所など幅広い用途電算室、クリーンルーム、病院など高い水質が求められる用途

解説動画

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