ビル管理士 2021年(R3年) 問43  過去問の解説【建築物の環境衛生】

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問題

クリプトスポリジウム症に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

1.病原体は細菌である。
2.ヒトや哺乳動物の消化管で増殖する。
3.水道水の塩素消毒で死滅する。
4.水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針では、レベル1が最もリスクが高い。
5.下痢症状は1~2日で消失する。

回答と解説動画

正解は(2)

1.病原体は細菌である
→誤りです
クリプトスポリジウム症の原因となるクリプトスポリジウムは、細菌ではなく「原虫」に分類されます。原虫とは、単細胞の真核生物で、細菌やウイルスとは全く異なる生物です。クリプトスポリジウムは、特に水系感染症として知られています。

2.ヒトや哺乳動物の消化管で増殖する
→正しいです
クリプトスポリジウムは、ヒトやウシなどの哺乳動物の小腸の粘膜上皮細胞に寄生し、そこで無性生殖・有性生殖を繰り返して増殖します。感染すると、オーシストと呼ばれる耐久性の高い卵のような形態を便中に排出します。このオーシストが水などを介して他のヒトや動物に感染を広げます。

3.水道水の塩素消毒で死滅する
→誤りです
クリプトスポリジウムのオーシストは、非常に強い外殻を持ち、通常の水道水の塩素消毒(残留塩素濃度0.1~1mg/L程度)ではほとんど死滅しません。
なお、一般的には紫外線処理が有効とされています。

「オーシスト」とは、原虫の接合子が膜で覆われた状態を指し、感染源となる形態のことです。特に、クリプトスポリジウムという原虫が環境中に存在するときの形態として知られており、塩素に対して強い耐性をもつ。

4.水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針では、レベル1が最もリスクが高い
→誤りです
水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針では、リスクのレベルは「レベル1」が最も低く、「レベル3」や「レベル4」など数字が大きくなるほどリスクが高いことを示します。

5.下痢症状は1~2日で消失する
→誤りです
クリプトスポリジウム症の主な症状は水様性の下痢で、健康な成人でも1~2週間持続することが多いです。免疫力が弱い人(乳幼児や高齢者、免疫不全患者)では、さらに長期化し、重症化することもあります。1~2日で自然に治ることはほとんどありません。

解説動画

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