ビル管理士 2021年(R3年) 問32  過去問の解説【建築物の環境衛生】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

音に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.聴力レベルがプラスの値は、基準値よりも聴力が良いことを意味する。
2.音の感覚の受容器である耳は、外耳、中耳、内耳に分けられる。
3.聴覚の刺激となる音には、頭蓋骨を伝わる音が含まれる。
4.音の大きさを評価する尺度として、聴覚系の周波数特性で補正したA特性音圧レベルがある。
5.聴力レベルのスクリーニングとして、職場の定期健康診断では1,000Hzと4,000Hzの聴力レベルが測定される。

回答と解説動画

正解は(1)

1. 聴力レベルがプラスの値は、基準値よりも聴力が良いことを意味する。
不適当です。
聴力レベルは、若い健康な人の平均聴力を「0dB」としたとき、
「プラスの値」は“より大きな音でないと聞こえない”=聴力が低下していることを意味します。
逆に、マイナスの値は“基準よりも小さい音でも聞こえる”=聴力が良い、という意味です。
したがって、「プラスの値は聴力が良い」というのは誤りです。

健康診断では、1000Hzと4000Hzの周波数について聴力検査が行われ、1000Hzでは30dB以下、4000Hzでは40dB以下の音が聞こえれば「正常」と判定されます。

2. 音の感覚の受容器である耳は、外耳、中耳、内耳に分けられる。
→正しいです。
耳は「外耳」「中耳」「内耳」の3つの部分に分けられます。
それぞれが音の集音、伝達、感覚変換の役割を担っています。

3. 聴覚の刺激となる音には、頭蓋骨を伝わる音が含まれる。
→正しいです。
音は空気を伝わる「気導音」だけでなく、頭蓋骨を伝わる「骨導音」も聴覚の刺激となります。
骨伝導イヤホンなどもこの仕組みを利用しています。

4. 音の大きさを評価する尺度として、聴覚系の周波数特性で補正したA特性音圧レベルがある。
→正しいです。
A特性音圧レベルは、人間の聴覚の感度に合わせて周波数ごとに重みづけ(補正)した音圧レベルで、
騒音評価や環境基準で最も一般的に使われる尺度です。

特性周波数特性・重み付け主な用途・特徴現在の主な利用状況
A特性人間の聴覚感度に合わせて補正(中音域重視)一般的な騒音測定、人のうるささ評価最も一般的、環境騒音・法規制
B特性A特性とC特性の中間(中程度の補正)かつては60dB程度の中程度の音の測定に使用現在はほとんど使われない
C特性ほぼフラット(低音・高音も拾う)大きな音や衝撃音の測定一部の工場騒音や特殊用途
Z特性補正なし(完全フラット)物理的な音圧レベルの測定、信号解析機械的な音の測定や解析

5. 聴力レベルのスクリーニングとして、職場の定期健康診断では1,000Hzと4,000Hzの聴力レベルが測定される。
→正しいです。
労働安全衛生法に基づく定期健康診断では、1,000Hz(低音域)と4,000Hz(高音域)の2つの周波数で聴力を測定します。
これは騒音性難聴の早期発見などを目的としています。

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