ビル管理士 2023年(R5年) 問50  過去問の解説【空気環境の調整】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

熱放射に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.同一温度の物体間での放射に関し、物体の放射率と吸収率は等しい。
2.物体表面の太陽放射の吸収率(日射吸収率)は、必ずしも放射率と等しくならない。
3.簡略化した放射熱伝達式では、放射熱伝達率が用いられる。
4.常温物体から射出される電磁波は、波長が10μm付近の赤外線が主体である。
5.温度が0℃の固体表面は、放射率に関わらず熱放射していない。
created by Rinker
¥2,200 (2025/06/20 09:31:41時点 Amazon調べ-詳細)

回答と解説動画

正解は(5)

1.同一温度の物体間での放射に関し、物体の放射率と吸収率は等しい。
→ 正しい
キルヒホッフの法則により、同一温度の物体間では、長波長放射(常温物体からの赤外線)に関して放射率=吸収率となります。例えば、白色ペイント(放射率0.9)は同じ温度の熱を90%吸収し、90%放射します。

2.物体表面の太陽放射の吸収率(日射吸収率)は、必ずしも放射率と等しくならない。
→ 正しい
太陽放射(短波長)と常温物体の長波長放射では特性が異なります。例えば、光ったアルミ箔は日射吸収率0.1(短波長)ですが、長波長放射率も0.1です。一方、黒色ペイントは日射吸収率0.9(短波長)、長波長放射率0.9(長波長)です。

3.簡略化した放射熱伝達式では、放射熱伝達率が用いられる。
→ 正しい
実務計算では、放射熱伝達率(例:4.5 W/(m²・K))を用いて熱損失を簡略化します。

4.常温物体から射出される電磁波は、波長が10μm付近の赤外線が主体である。
→ 正しい
常温(約20℃)の物体は波長10μm付近の赤外線を最も強く放射します。

5.温度が0℃の固体表面は、放射率に関わらず熱放射していない。
→ 不適当
絶対零度(-273℃)でない限り、すべての物体は熱放射します。0℃(273K)の物体も、放射率に応じた熱放射をしています。例えば、0℃の氷でも放射率0.9なら熱放射します。

絶対零度:これ以上下がらない理論上の最低温度(摂氏では-273.15℃)」のこと。この温度では、物質をつくる原子や分子の動き(熱のもとになる振動)が理論的に完全に止まると考えられています。
つまり、熱エネルギーが最も小さい状態が絶対零度です。

解説動画

解説動画はまだありません

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次