問題
熱放射に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 同一温度の物体間での放射に関し、物体の放射率と吸収率は等しい。 |
2. | 物体表面の太陽放射の吸収率(日射吸収率)は、必ずしも放射率と等しくならない。 |
3. | 簡略化した放射熱伝達式では、放射熱伝達率が用いられる。 |
4. | 常温物体から射出される電磁波は、波長が10μm付近の赤外線が主体である。 |
5. | 温度が0℃の固体表面は、放射率に関わらず熱放射していない。 |
回答と解説動画
正解は(5)
1.同一温度の物体間での放射に関し、物体の放射率と吸収率は等しい。
→ 正しい。
キルヒホッフの法則により、同一温度の物体間では、長波長放射(常温物体からの赤外線)に関して放射率=吸収率となります。例えば、白色ペイント(放射率0.9)は同じ温度の熱を90%吸収し、90%放射します。
2.物体表面の太陽放射の吸収率(日射吸収率)は、必ずしも放射率と等しくならない。
→ 正しい。
太陽放射(短波長)と常温物体の長波長放射では特性が異なります。例えば、光ったアルミ箔は日射吸収率0.1(短波長)ですが、長波長放射率も0.1です。一方、黒色ペイントは日射吸収率0.9(短波長)、長波長放射率0.9(長波長)です。
3.簡略化した放射熱伝達式では、放射熱伝達率が用いられる。
→ 正しい。
実務計算では、放射熱伝達率(例:4.5 W/(m²・K))を用いて熱損失を簡略化します。
4.常温物体から射出される電磁波は、波長が10μm付近の赤外線が主体である。
→ 正しい。
常温(約20℃)の物体は波長10μm付近の赤外線を最も強く放射します。
5.温度が0℃の固体表面は、放射率に関わらず熱放射していない。
→ 不適当。
絶対零度(-273℃)でない限り、すべての物体は熱放射します。0℃(273K)の物体も、放射率に応じた熱放射をしています。例えば、0℃の氷でも放射率0.9なら熱放射します。
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