ビル管理士 2024年(R6年) 問93  過去問の解説【建築物の構造概論】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

鉄筋コンクリート構造とその材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.直接土に接する壁において、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、4cm以上としなければならない。
2.プレキャスト化された鉄筋コンクリート部材により、工期を短縮することができる。
3.鉄筋コンクリート用棒鋼のSDの記号は、丸鋼を示す。
4.梁(はり)のあばら筋は、せん断力に対して抵抗する。
5.柱の帯筋の径は、6mm以上とする。
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回答と解説動画

正解は(3)

1.直接土に接する壁において、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、4cm以上としなければならない。
→正しい
かぶり厚さとは、鉄筋をコンクリートで覆う厚さのことで、鉄筋の表面から、その鉄筋を覆うコンクリート表面までの距離を指します。
主に腐食や火災に対する保護を目的としています。直接土に接する部分は湿気が多く腐食リスクが高いため、4cm以上が必要とされています。
なお、直接土に接しない部分では、3㎝以上とされています。こちらも重要な知識なので違いを覚えておきましょう。

以下の写真が鉄筋(格子状になっている金属の棒)です。ここにコンクリートを流して基礎などを作るのですが、鉄筋に対してどのくらいコンクリートを厚く盛るかを「かぶり厚さ」といいます。

出典:松美建設

2.プレキャスト化された鉄筋コンクリート部材により、工期を短縮することができる。
→正しい
プレキャスト部材(工場製作された鉄筋コンクリート部材)は、現場作業の一部を省略できるため、工期短縮や品質向上に寄与します。

本来は建設現場で鉄筋を組みコンクリートを流して壁などを作成するのですが、以下の写真のようにあらかじめパーツごとに作成しておいて、これらを建設現場に運ぶことで品質の安定、工期短縮、現場作業の省力化といったメリットがあります。

出典:太洋コンクリート

3.鉄筋コンクリート用棒鋼のSDの記号は、丸鋼を示す。
→不適当
「SD」は「異形棒鋼(いけいぼうこう Seismic Deformed)」の略であり、表面に突起がある棒鋼を指す。丸鋼は「まるこう SR(Smooth Round)」などと表記されます。
以下の写真、左が丸棒、右が異形棒鋼です。

丸鋼
異形棒鋼

4.梁(はり)のあばら筋は、せん断力に対して抵抗する。
→正しい
あばら筋(せん断補強筋)は、主筋が曲げに抵抗する一方で、斜め方向の力(せん断力)に対して構造的な補強となる。
以下は、鉄筋コンクリート構造に用いられる鉄筋の種類とその役割の一覧です。

  • 柱の主筋は、地震や風などによって柱が曲げられる力(曲げモーメント)に対して耐えるための鉄筋で、柱の縦方向に通されています
  • 柱の帯筋は、柱に働くせん断力に対応します。通常、柱を帯のように巻く形で配置されます
  • 梁の主筋は、梁が受ける曲げモーメントに抵抗するために使われる鉄筋です
  • 梁のあばら筋は、梁のせん断力に対応します。梁の主筋を囲むように取り付けられます
出典:LIXIL

5.柱の帯筋の径は、6mm以上とする。
→正しい
建築基準法施行令により、柱の帯筋(フープ筋)の径は6mm以上とすることが規定されています。

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