ビル管理士 2024年(R6年) 問82  過去問の解説【空気環境の調整】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

冷却塔と冷却水の維持管理に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.冷却水の強制ブローは、冷却水の濃縮防止に有効である。
2.冷却水への薬剤処理は、適正濃度を維持するために、冷却塔への補給水量に比例した量の薬剤注入により行う。
3.冷却塔及び冷却水は、使用開始時及び使用開始後、1か月以内ごとに1回、定期にその汚れの状況を点検する。
4.角形(クロスフロー)冷却塔は、丸形(カウンターフロー)冷却塔と比較して空中に冷却水が飛散しやすいため、管理をより厳重にする必要がある。
5.冷却水系統のレジオネラ属菌の増殖抑制のため、化学的洗浄と殺菌剤添加を併用する。
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回答と解説動画

正解は(4)

冷却塔とは、ビル空調や工場などで使われる冷凍機の冷却水を冷却するための装置です。大気と直接または間接的に接触させることで、冷却水の温度を下げる熱交換器の一種です。

出典:三菱ケミカルインフラテック

1. 冷却水の強制ブローは、冷却水の濃縮防止に有効である。
→正しい
強制ブロー(ブローダウン)は、冷却水の一部を排出し新しい水と入れ替えることで、ミネラルや汚れの濃縮を防ぐ有効な方法です。

2. 冷却水への薬剤処理は、適正濃度を維持するために、冷却塔への補給水量に比例した量の薬剤注入により行う。
→正しい
薬剤(殺菌剤・スケール防止剤など)は、補給水量に応じて自動的に注入することで、常に適正濃度を維持できます。

3. 冷却塔及び冷却水は、使用開始時及び使用開始後、1か月以内ごとに1回、定期にその汚れの状況を点検する。
→正しい
建築物環境衛生管理基準では、「使用開始時および使用期間中、1か月以内ごとに1回以上」の点検が定められています。

4. 角形(クロスフロー)冷却塔は、丸形(カウンターフロー)冷却塔と比較して空中に冷却水が飛散しやすいため、管理をより厳重にする必要がある。
不適当
一般に、クロスフロー(角形)冷却塔はカウンターフロー(丸形)冷却塔よりも水の飛散量が少ないとされています。したがって、「飛散しやすい」という記述は誤りです。

クロスフロー冷却塔は、落下する水に対して横から空気が当たる構造です。ルーバー(外気取入口)が本体の側面にあり、充填材(熱交換部材)がルーバーのすぐ内側に配置されています。そのため、水がルーバーを通って外部に飛び出しにくい設計になっています。
一方、カウンターフロー冷却塔は、下から上に空気が流れ、上から水が落下します。水が直接ルーバー(外気取入口)付近に落ちるため、水滴がルーバーから外部に飛散しやすい構造です。

出典:豊安工業
充填材

5. 冷却水系統のレジオネラ属菌の増殖抑制のため、化学的洗浄と殺菌剤添加を併用する。
→正しい
バイオフィルムや汚れの除去には、物理的・化学的洗浄と殺菌剤の併用が効果的です。

空気調和設備に関する衛生上必要な措置

項目措置内容頻度
冷却塔及び加湿装置に供給する水水道法第4条に規定する水質基準に適合させるための措置
冷却塔、冷却水汚れの状況の点検
※必要に応じて清掃及び換水等を行う。
使用開始時及び使用期間中1ヶ月以内ごとに1回、
(1ヶ月を超える期間使用しない場合を除く)
冷却塔、冷却水の水管の清掃1年以内ごとに1回
加湿装置汚れの状況の点検
※必要に応じて清掃及び換水等を行う。
使用開始時及び使用期間中1ヶ月以内ごとに1回
(1ヶ月を超える期間使用しない場合を除く)
清掃1年以内ごとに1回
空気調和設備内に設けられた排水受け汚れ及び閉塞の状況の点検
※必要に応じて清掃及び換水等を行う。
使用開始時及び使用期間中1ヶ月以内ごとに1回
(1ヶ月を超える期間使用しない場合を除く)

解説動画

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