ビル管理士 2024年(R6年) 問65  過去問の解説【空気環境の調整】

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問題

下の図は、蒸気熱源吸収冷凍機の冷凍サイクルを示したものである。図中のA、B、Cに対応する蒸気、冷水、冷却水の組合せとして、最も適当なものは次のうちどれか。

蒸気冷水冷却水
1.ACB
2.BAC
3.BCA
4.CAB
5.CBA
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回答と解説動画

正解は(3)

3. B(蒸気)、C(冷水)、A(冷却水)

  • B:蒸気 → 再生器に入る
  • C:冷水 → 蒸発器に入る
  • A:冷却水 → 吸収器・凝縮器に入る

右下の蒸発器から順に見ていくと、蒸発器にはCの冷水配管が通っており、ここを流れる水から熱を奪って冷媒(水)が蒸発します。(冷水配管内の冷水は外部で熱源として利用されます)

蒸発した冷媒(水)は左下の吸収器へ移動します。吸収器の中には臭化リチウムがあり、蒸発した冷媒(水)はこの臭化リチウムに吸収されます。このときの化学反応で熱が発生するため、吸収器の中には発生した熱を冷却するために、Aの冷却水配管が通っています。

冷媒(水)を吸収した臭化リチウムの溶液は、ポンプで左上の再生器へ移動します。再生器では、臭化リチウムの溶液にBの蒸気配管を使って外部から熱を加え、臭化リチウムと冷媒(水蒸気)に分離させます。
→分離した臭化リチウムは再び吸収器へ移動します。

冷媒(水蒸気)は右上の凝縮器へ移動します。凝縮器にはCの冷却水配管が通っており、冷媒は冷やされて水蒸気から液体へ変化します。そして、再び右下の蒸発器へ移動しサイクルが繰り返されます。

吸収式冷凍機の仕組み

蒸気熱源吸収冷凍機は、蒸気(熱)を使って冷水(空調用の冷水)をつくる大型の冷凍機です。圧縮式冷凍機のような圧縮機は使わず、「吸収液(臭化リチウム水溶液)」と「冷媒(水)」の性質を利用して冷却を行います。以下、各工程を詳しく解説します。

出典:東京臨海熱供給(株)
STEP
蒸発器(冷水をつくる場所)
  • 蒸発器の中はほぼ真空状態で、通常100℃の水も4~7℃程度で簡単に蒸発します。
  • 冷水配管が蒸発器内を通っており、ここを流れる水から熱を奪って冷媒(水)が蒸発します。
  • 冷水配管の水は冷やされ、空調用冷水として建物に送られます。
STEP
吸収器(冷媒蒸気を回収する場所)
  • 蒸発器で発生した水蒸気(冷媒)は吸収器に送られます。
  • 吸収器には「臭化リチウム水溶液(吸収液)」があり、これが強い吸水性を持つため、水蒸気をどんどん吸収します。
  • この吸収反応で熱が発生するため、吸収器には冷却水が流れて熱を取り除きます。
  • 吸収液は水蒸気を吸収することで薄く(希薄)なります。
STEP
再生器(吸収液を元に戻す場所)
  • 吸収器で薄くなった吸収液はポンプで再生器に送られます。
  • 再生器では外部から供給された蒸気(熱源)によって吸収液を加熱します。
  • 加熱により吸収液から水蒸気(冷媒)が分離し、吸収液は再び濃くなって吸収器に戻ります。
  • 分離した水蒸気は凝縮器へ送られます。
STEP
凝縮器(冷媒を液体に戻す場所)
  • 再生器で発生した水蒸気は凝縮器に送られ、冷却水で冷やされて再び水に戻ります(液化)。
  • 液化した冷媒は膨張弁を経て蒸発器に戻り、サイクルが繰り返されます。(STEP1へ戻る)

まとめ

  • 蒸発器で冷媒(水)が蒸発し、冷水をつくる
  • 吸収器で冷媒蒸気を臭化リチウム水溶液が吸収する
  • 再生器で蒸気(熱源)を使って吸収液から冷媒を分離する
  • 凝縮器で水蒸気を再び液体に戻す

この「蒸発→吸収→再生→凝縮」のサイクルを繰り返すことで、蒸気熱源吸収冷凍機は冷水を作り続けます。圧縮機を使わないため電力消費が少なく、フロン類を使わず水を冷媒とするため環境負荷も小さいのが特徴です。

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